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オーストラリアのEnviroCopper社は、南オーストラリア州のカプンダ銅・金プロジェクトにおいて、原位置回収法(ISR)による銅抽出を試験する「現地環境リーチング液試験(SELT)」の実施を開始する。南オーストラリア州エネルギー・鉱業省の承認を受けており、試験は2025年12月期から2026年3月期にかけて90日間実施される予定だ。
SELTは、浅部の破砕岩帯帯水層における酸化銅鉱のISR抽出に関する概念実証となるもので、実現すればISR銅鉱山としての操業に向けた実現可能性調査および鉱山リース申請へと進展する。
この研究計画は、2022年8月にEnviroCopperとOZミネラルズ社が締結した協定に基づくものだが、2023年5月にBHPが96億3000万米ドルでOZミネラルズを買収したことで、現在はBHPが研究資金を提供している。
EnviroCopperのレオン・フォークナーCEOは「この試験はISR法による銅・エネルギー金属抽出において、探鉱ライセンス内で低コスト・短時間で展開できる先駆的手法であり、規制上の大きな進展だ」と述べた。今後、同社はこのISRモデルをアルフォード・ウェストなど他プロジェクトにも適用する方針である。
一方、ウラン探鉱企業であるアリゲーター・エナジーは、EnviroCopperの15.6%の株式を保有しており、最大50.1%までの取得オプションを持つ。同社のグレッグ・ホールCEOは「この投資は、当社の既存ISR技術と将来的な銅需要への対応力を補完するものであり、銅分野へのISR応用が実証されれば、さらなる拡大機会が生まれる」と述べている。
なお、カプンダ試験に向けた井戸配置、試験施設、および関連土木工事はすでに完了しており、現在は最終準備段階に入っている。
金属フォーカス編集部コメント:
原位置回収(ISR)は、環境負荷を抑えつつ鉱石を効率的に抽出する技術として、銅やウラン分野で注目を集めている。BHPが主導する今回の試験は、オーストラリアにおける新たなISR銅鉱山の先例となる可能性を秘めており、世界的な銅不足と脱炭素トレンドの中で、その商業的・技術的価値が大きく試されることになる。試験結果次第では、ISR法が今後の銅開発プロジェクトにおける重要な選択肢となるだろう。
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