2024年の世界鉄鋼輸出、3.3%増の4億4,920万トン

鉄鋼

中国が圧倒的首位を維持、アジア主導の貿易構造が加速

世界鉄鋼協会(World Steel Association)の最新統計によると、2024年の世界鉄鋼貿易(圧延品および半製品)は前年比3.3%増の4億4,920万トンとなり、インフラや建設、機械分野における国際的な経済活動の緩やかな回復を裏付けた。

中国の鉄鋼輸出量は1億1,710万トンに達し、前年(9,430万トン)から大幅増加。2位は日本(3,120万トン、前年比3.1%減)、3位は韓国(2,800万トン、3.7%増)。EUは2,780万トンで前年比6.9%増、トルコは1,700万トンと33.8%の急増を記録し、存在感を強めている。

2024年の鉄鋼輸入の最大市場はEU(4,280万トン、前年比9.2%増)。以下、米国(2,730万トン、3.4%増)、トルコ(1,970万トン、9.4%増)、イタリア(1,850万トン、1.1%減)が続く。

アジアの輸出シェアは全体の48%超に達し、欧州は27.8%に縮小。特に中国の積極的な輸出政策と競争力の高い価格帯が、欧州勢のシェア低下を招いている。

主要製品別では、熱延板・コイルが8,200万トン(7.9%増)、溶融亜鉛メッキ鋼板が4,320万トン(5.4%増)、厚板が3,550万トン(2.6%増)、鋼管・継手類が3,720万トン(1.9%増)、冷延板・コイルが3,190万トン(6%増)となった。

世界粗鋼生産量は17億6,000万トン(前年比1%減)で、そのうち輸出が占める比率は25.5%(2023年は24%)に上昇している。

鉄鉱石輸出も緩やかに増加し、2024年は約16億トンで前年比2%増。最大輸出国はオーストラリア(8億6,600万トン、1.4%増)、次いでブラジル(3億9,000万トン、2.6%増)、南アフリカ(6,100万トン、3.4%増)となった。

中国とアジアが主導権を握る鉄鋼輸出競争

中国の輸出量増加は、依然として同国が鉄鋼市場で主導的な立場にあることを示している。競争力のある価格と広範な生産能力により、アジアの輸出シェアは48%を突破し、欧州勢の相対的な地位は後退している。

半製品と高付加価値製品の取引が拡大傾向

半製品の国際取引量は5,460万トンに拡大し、2022年から2年連続で増加。熱延鋼板や溶融亜鉛メッキ鋼板といった高付加価値製品の輸出増も顕著で、需要回復を支える供給体制が強化されている。

金属フォーカス編集部コメント

2024年の鉄鋼輸出拡大は需要回復とアジア主導の供給構造の再確認を意味するが、地域間の競争は一層激化する。特に中国のシェア拡大は価格競争を助長し、欧州や日本などの高コスト生産国にとっては長期的な課題となる。今後の焦点は、持続的な需要回復に対する生産・輸出戦略の適応力にある。

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