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Lynas Rare Earths |
豪州のレアアース大手Lynas Rare Earthsは、マレーシア工場にて初の分離ジスプロシウム酸化物(Dy₂O₃)の商業生産に成功したと発表した。2025年3月期四半期報告(4月28日発表)で予告されていた通り、同社の新たな重希土類(HREE)分離回路が第1四半期中に立ち上げられ、5月にDyの初生産を実現。続く6月にはテルビウム(Tb)の生産も予定されている。
LynasのCEO兼マネージングディレクター、アマンダ・ラカーズ氏は、「マレーシアでの新ラインによるオンスペックDyの初生産は、サプライチェーンの強靭化における重要な一歩です。これにより、顧客は中国以外の供給元からの調達という選択肢を得ることができます」とコメント。
現在、Lynasは中国以外で唯一、分離された重希土類製品を商業的に供給できる企業となっている。
日本・米国・欧州が注目──市場再構築と供給多様化へ
Lynasは、ジスプロシウムやテルビウムといった磁性材料向け重希土類の需要が高い日本、米国、欧州の顧客と供給に関する協議を進めており、「持続的な市場再構築の機会に貢献する独自のポジションにある」としている。
ジスプロシウムは高温環境下での永久磁石の耐熱性向上に不可欠で、EV(電気自動車)モーターや風力発電機などに広く使用される。従来、中国が世界供給の大半を占めていたが、今回のLynasの商業生産開始は「供給多角化」における地政学的ブレイクスルーとされる。
四半期報告によれば、新たに生産される重希土類製品の価格は、中国域外での強い需要を反映したプレミアム価格になる見込み。
ラカーズ氏は「我々の分離技術は、Lynasチームの高い専門性を示すものであり、今回のDy初生産はその成果です」と語った。
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