Assofermet、イタリア鋼材市場に停滞感──4月は祝日と国際不安定で需要低迷、タラント製鉄所の火災も懸念材料に

Assofermet

イタリア鉄鋼流通協会Assofermetは、2025年4月の国内鋼材市場について「勢いを欠いた月」と総括した。ミラノで開催された見本市「Made in Steel」も、炭素鋼フラット製品サービスセンターにとって起爆剤とはならず、期待された反転の兆しは見られなかった。

同協会の最新月次レポートによると、欧州製鉄所は生産削減を進めつつも、商業条件では依然として強硬な姿勢を維持。アジア勢は米国向け輸出の困難と内需低迷を背景に価格競争力を強めており、欧州市場への圧力が増しているという。

さらに、伊Acciaierie d’Italia社タラント製鉄所で再び高炉1に火災が発生し、同拠点の雇用や生産継続に対する懸念が再燃している。

ステンレス薄板は過剰供給、価格回復ならず

ステンレス薄板市場は4月も低調で、過剰供給とニッケル価格の乱高下、ステンレススクラップの下落が重なり、価格回復の足掛かりを失った。欧州の主要メーカーの第1四半期決算も振るわず、さらなる値下げ余地は限定的だという。納期が非常に短いことは、受注残が極めて薄いことの表れでもある。

流通業者はゼロないしマイナスの利幅で操業を続けており、規制の明確化──特にCBAM(炭素国境調整メカニズム)関連の進展──が下期の転機となる可能性があるとAssofermetは指摘する。

倉庫在庫は回復も、実需は不透明

倉庫在庫については、4月にフラット製品の価格と出荷量が前年並みに回復した。しかし、これは真の需要回復ではなく、単なる在庫補充との見方もあり、持続性には疑問が残る。ロング製品もやや上昇傾向を示すが、ステンレスは依然として前年同期比で減少している。

ブリキ市場は輸入規制で緊張続く

ブリキ部門では、第三国からの輸入に対する新たな制限により、税関での通関処理が複雑化。業者の間で関税回避の動きが見られ、市場の歪みと購買判断の先送りを招いている。欧州価格が上限に達したことで、一部輸入業者は第2四半期の損失補填のために価格引き上げを余儀なくされている。

また、欧州の主要製造業者が生産効率化のため、アニール処理ラインの一部を停止したことも報告された。なお、タラント製鉄所での火災については、同社がブリキ分野ではすでに限定的な役割しか果たしていないため、市場への影響は小さいと見られている。

コメントを投稿