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British Steel |
解体回避へ緊急法を可決、スクンソープ製鉄所の操業維持を目的に
英国政府は、ブリティッシュ・スチール(British Steel)に対し、これまでに約9400万ポンド(約1億7500万ドル)の運転資金を提供していたことが、ジョナサン・レイノルズ ビジネス・貿易相による議会答弁で明らかになった。英紙The Telegraphが報じた。
この資金は、従業員の給与支払いや原材料調達、日々の操業を維持するための運転資金として支給されたものであり、同社の突発的な倒産や設備の全面停止による数十億ポンド規模の損失を回避するための緊急措置とされる。
レイノルズ氏は「Jingye(中国の親会社)に直接大規模支援を行うより、あるいは同社の全面崩壊を招くよりも、現在の支援額の方がはるかに少なく抑えられている」と語った。
25億ポンド規模の鉄鋼支援基金も活用へ、国家管理体制に移行
英国議会は2025年4月、国内最後の高炉(スクンソープ製鉄所)の操業維持を目的とした緊急法を可決し、政府によるブリティッシュ・スチールの一時的な国家管理体制への移行を決定した。
背景には、3月に親会社の中国・Jingye集団が、英政府から提示された5億ポンドの支援策を拒否したことがある。これにより、英政府は自ら主導して事業維持に踏み切る決断を迫られた。
レイノルズ氏は「25億ポンド規模の英国鉄鋼基金を活用し、スクンソープ製鉄所の操業継続を支援していく」と述べ、今後も産業の根幹を担う製鉄業への戦略的支援を継続する方針を示した。
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