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アンチモン |
トランプ政権の新関税政策でアンチモンが免除対象に
米国トランプ前大統領は2025年4月5日、「米国の恒常的な貿易赤字を是正するための相互関税規制」に関する大統領令に署名した。しかし、複数の重要鉱物とともにアンチモン(Sb)が関税の対象から除外され、資源探査企業の間で歓迎の声が広がっている。
アンチモンは、バッテリー技術や先進的軍事システム、各種産業用途に不可欠な戦略物資であり、米国地質調査所(USGS)の2022年「クリティカルミネラルリスト」にも明記されている。今回の関税免除措置は、米国政府が同鉱物の戦略的重要性を再確認したことを意味する。
現在、世界のアンチモン供給の94%を中国、ロシア、タジキスタン、ミャンマーの4カ国が掌握しており、供給リスクへの懸念から、探査活動は世界的に活発化している。
豪州・米国・カナダで探査が加速、企業は価格高騰に期待
豪州のTrigg Minerals(ASX:TMG)は、ニューサウスウェールズ州にある「Wild Cattle Creek」鉱床の開発に注力しており、これは豪州で最も高品位な未開発の一次アンチモン資源(1.52百万トン中に29,900トンのSbを含有)とされている。
同社の会長ティモシー・モリソン氏は、「関税免除、豪連邦・州政府の支援策、そして記録的な価格高騰が揃う今は、非戦時下で最も開発に適した時期だ」と述べている。
また、Cosmo Metals(ASX:CMO)は、金-アンチモン・銅プロジェクトであるBingaraおよびNundle地域の取得に向けて前進。LiDARや高解像度画像の収集により、効率的な地表探査とボーリング調査を目指している。
米国ユタ州ではEV Resources(ASX:EVR)がCoyote Creekアンチモンプロジェクトにおいて、49の未特許鉱区を確保。EV社は、国内供給の確立とアメリカ大陸での開発体制強化を掲げている。
軍需・電池向け需要で注目、価格は最高値を更新中
カナダを拠点とするMilitary Metals(CSE:MILI)は、ノバスコシア州のWest Goreプロジェクトなど複数のアンチモン資源地を取得。CEOのスコット・エルドリッジ氏は、「2月にスポット価格が1トンあたり51,500ドルに達し、過去最高値を更新した」と述べ、さらに価格が10万ドルに達する可能性もあると市場では見られている。
アンチモンは単体では産出が稀で、金、銀、鉛、亜鉛鉱床と共に産出される硫化鉱物スティビナイト(輝安鉱)として採掘されることが多い。元素記号Sbはラテン語の「Stibium」に由来し、金属光沢のある銀灰色の半金属として知られている。
今後、アンチモンの世界的な重要性と供給網の強靱化が、さらに注目を集めるのは確実だ。
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