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| ArcelorMittal CBAM Steel |
欧州の鉄鋼大手アルセロール・ミタル(ArcelorMittal)は、欧州連合(EU)の「国境炭素調整措置(CBAM)」および鉄鋼セーフガード措置の対象を、鋼鉄派生品や下流の加工製品へ早期に拡大するよう求めています。同社欧州フラット・プロダクツ部門のマーケティングディレクター、ポール・ブレットナッハー氏が顧客向け誌面で提唱しました。現行の枠組みがカバーしていない鋼鉄派生品の輸入急増は、EUが実施する既存の通商救済措置の防衛効果を事実上無効化する恐れがあります。
拡大する鉄鋼過剰能力とNGOES市場の危機
アジアや中東を中心とする世界的な鉄鋼の過剰生産能力は、2008年の金融危機以来の速さで拡大しています。巨額の補助金に支えられた不当に安価な鉄鋼製品の流入は、欧州域内メーカーの価格競争力を著しく損なっています。特に電気自動車(EV)のモーターなどに不可欠な「無方向性電磁鋼板(NGOES)」の分野では、すでに欧州の需要の3分の2近くが域外からの輸入に依存する深刻な事態に陥っています。
2027年に向けた3つの優先是正策
アルセロール・ミタルは、欧州の産業競争力と戦略的自律性を守るため、2027年までに以下の3つの優先行動をとるようEUに迫っています。第一に、CBAMの適用範囲をNGOESのバリューチェーン全体に拡大することです。第二に、EUの鉄鋼通商保護措置を同等の下流派生品へ適用し、規制の抜け穴をふさぐことです。第三に、公共調達や資金援助プログラムにおいて、EU域内で製造された発電機やモーターを優先することです。EUは7月1日から新たな鉄鋼セーフガード規則を適用しますが、鋼鉄派生品への抜本的な対策が引き続き求められます。
金属フォーカス 編集部コメント
EUのCBAMは、規制対象外の鋼鉄派生品や部品の形で域内に流入する「カーボンリーケージ(炭素漏出)」という致命的な抜け穴に直面しています。この規制逃れは、脱炭素化へ巨額の投資を進める欧州の鉄鋼・自動車サプライチェーンの基盤を揺るがしかねません。EU当局が川下製品への課税拡大に踏み切るか否かは、今後のグローバルなマテリアル流通と投資戦略を左右する最大の焦点となります。


