ドイツ鉄スクラップ輸出、2026年初頭に安定推移 イタリア需要増が構造変化を牽引

Germany ferrous scrap exports


輸出構造の変化と地域別動向

ドイツの鉄スクラップ輸出は2026年1〜2月において安定した数量を維持した。輸出総量は126万トンに達し、金額ベースでは5億6,800万ユーロを記録した。一方で市場構造には明確な変化が生じている。イタリア向け輸出は前年比約20%増加したのに対し、オランダ向けは19%減少した。

イタリア向け増加は電炉(EAF)製鋼の回復を示している。ドイツ鉄スクラップ輸出は欧州域内における需要再配分の動きを反映している。加えて、電炉鋼材メーカーの稼働率上昇がスクラップ需要を押し上げた。その結果、南欧市場の存在感が一段と高まる構図となっている。

一方でオランダ向け減少は、物流フローの変化および内需調整の影響が重なった結果とみられる。しかしながら、ドイツ鉄スクラップ輸出全体は安定水準を維持している。さらに域内サプライチェーン再編も調整要因として作用しており、欧州内の供給構造は引き続き変化局面にある。


価格動向と今後の見通し

ドイツ鉄スクラップ輸出市場は、価格の安定とエネルギーコスト上昇という相反する要因の影響を受けている。4月の価格はほぼ横ばいで推移し、E3は295ユーロ、E2/8およびE40は305ユーロとなった。一方で欧州全体ではエネルギーコストの上昇傾向が継続している。加えてトルコ向け輸出は堅調に推移し、市場流動性を下支えしている。

5月以降は運賃上昇により価格上昇圧力が強まる可能性が高い。中東地域における地政学的緊張の高まりが物流コストを押し上げており、その影響は海上輸送費全体に波及する見通しである。その結果、国際スクラップ価格にも上昇圧力が広がる可能性がある。

2025年末時点では輸出増加と輸入減少が同時進行している。輸出は770万トンとなり前年比5%増加した一方で、輸入は398万トンと9%減少した。この動きはドイツ鉄鋼産業における生産縮小と連動している構造変化として位置づけられる。


金属フォーカス 編集部コメント

ドイツ鉄スクラップ輸出は単なる数量安定局面ではなく、欧州内の需給再編フェーズに移行している。特に南欧の電炉鋼需要が中長期的な構造変化を主導する可能性が高い。一方で、物流コスト上昇と地政学リスクの増大は価格変動性を強める主要因として注視が必要である。

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