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| Steel recycling policy |
EAF鋼とスクラップ評価を巡る国際的対立構造
国際リサイクル業界は、鉄鋼の脱炭素評価基準を巡る議論が分岐点に達している。 BIR(Bureau of International Recycling)は、スクラップ利用の環境価値を正しく反映しない「スライディングスケール方式」に強い懸念を示した。
BIRは、現在議論されている一部の「グリーンスチール基準」が、リサイクル材比率の高い電炉(EAF)鋼の優位性を希薄化していると主張している。その結果として、排出量が高い一次製鉄プロセスが実質的に有利になる設計が存在すると警告した。
さらに同団体は、鉄鋼セクターが世界の工業排出量の約30%を占める重要分野であると指摘した。そのため、排出強度に基づく透明な評価体系が不可欠だと強調している。
グリーンスチール基準と政策設計の分岐点
グリーンスチール基準を巡る議論は、政策設計と市場評価の両面で対立を生んでいる。BIRは、スクラップ比率を調整要因として扱う現行方式が環境価値を歪めると批判した。
一方で業界では、ResponsibleSteelやGlobal Steel Climate Council(GSCC)など複数の枠組みが並存している。これらの基準はそれぞれ異なるアプローチで排出量削減の経路を設計している。
しかしながらBIRは、プロセス非依存の単一基準が必要だと主張している。その結果としてのみ、鉄鋼市場の公平性と脱炭素の一貫性が確保されると説明した。
さらにBIRは、スライディングスケール方式がスクラップ利用の環境メリットを弱める可能性を指摘した。加えて、政策判断が誤ったシグナルを市場に送るリスクにも言及している。
リサイクル鉄市場と脱炭素戦略への影響
リサイクル鉄市場は、今回の規格論争によって中長期的な評価軸の変化に直面している。BIRは、スクラップ利用を中心とした循環型鉄鋼生産が脱炭素の核心であると強調した。
一方で同団体は、一次製鉄プロセスも依然として重要な役割を持つと認めている。そのため、両プロセスを分断せずに統合的に評価する枠組みが必要だと主張した。
また、透明性と実測ベースの排出データの重要性も繰り返し指摘された。その結果、信頼性の高いグリーン認証制度の構築が急務となっている。
さらにBIRは、72カ国・3万社以上のリサイクル企業を代表する立場として、政策対話への継続的関与を表明した。そのため、今後の国際標準化プロセスにおいて影響力を持つ可能性が高い。
金属フォーカス 編集部コメント
グリーンスチール基準を巡る対立は、今後の鉄鋼脱炭素戦略の方向性を左右する重要な分岐点となる。
特にスクラップ評価の扱いは電炉鋼の競争力に直結し、資本投資や貿易フローにも影響を及ぼす可能性がある。
今後は単一基準化の進展が市場の価格形成と設備投資判断の鍵を握ると見られる。


