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| Nucor Hot Rolled Coil Price |
米国HRC価格上昇が加速している。大手電炉メーカーのNucorは3月23日、熱延コイル(HRC)のスポット消費者価格(CSP)を1ショートトン当たり1,025ドルへ引き上げた。今回の値上げは前週比で10ドルの上昇となり、これで10週連続の価格引き上げとなる。米国の鉄鋼市場では供給調整と需要回復が重なり、価格の上昇トレンドが鮮明になっている。
米国HRC価格上昇の背景と市場動向
米国HRC価格上昇の主因は需給の引き締まりにある。Nucorは3〜5週間の納期を維持しているが、これは比較的短い水準であり、需要の底堅さを示す指標といえる。一方で、西海岸の合弁会社California Steel Industries(CSI)も同様に10ドル値上げし、提示価格は1,075ドルに達した。
市場データもこの動きを裏付ける。SMUによると、3月17日時点の米国東部FOBベースの平均スポット価格は1,015ドルとなり、前週比で10ドル上昇した。さらにKallanishは1,000〜1,020ドルと推計し、これは過去2年間で最高水準に位置する。こうした価格水準は、需給バランスの改善とともに、サービスセンターの在庫補充需要が活発化していることを示す。
グローバル連動:原料高と各国の値上げ動向
米国HRC価格上昇はグローバル市場とも連動している。月初にはOregon Steel MillsおよびSSAB Americasがフラット製品で60ドルの値上げを発表した。これにより北米市場全体で価格引き上げのモメンタムが強まった。
一方で、日本市場でも同様の動きが見られる。東京製鐵は4月販売分の鋼材価格を引き上げ、特に熱延コイルは前月比7,000円(約44ドル)上昇した。背景には鉄鉱石やスクラップなど原材料コストの上昇がある。その結果、米国HRC価格上昇は単独要因ではなく、世界的なコストプッシュ圧力の一部として理解できる。
加えて、エネルギーコストや物流費の高止まりも鋼材価格を押し上げる要因となっている。これにより、鉄鋼メーカーは価格転嫁を継続する姿勢を強めている。
米国HRC価格上昇は短期的には継続する可能性が高い。特に建設、自動車、エネルギー分野の需要が維持される限り、価格は高止まりする公算が大きい。一方で、過度な価格上昇は需要の減速を招くリスクも内包するため、市場は今後の需要弾力性に注目する局面に入る。
金属フォーカス 編集部コメント
米国HRC価格上昇は、需給改善とコスト上昇の複合要因で形成されている。今後は在庫循環と最終需要の強さが価格持続性を左右する。特にグローバル連動性が高まる中、アジア市場の動向が次の転換点となる可能性がある。


