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| Rio Tinto Aluminium |
資源大手のRio Tintoは、アルミニウム事業の拡大戦略を加速している。アルミ部門CEOのジェローム・ペクレスは、同社が資本投資を強化し、事業の重要性を高めてきたと明言した。リオ・ティントのアルミ戦略拡大は、脱炭素と供給網の分散化を軸に、世界市場での存在感を高める動きとして注目される。
低炭素技術AP60が牽引する競争優位
リオ・ティントのアルミ戦略拡大は、AP60製錬技術に支えられている。この技術は高効率と低排出を両立し、カナダの水力発電と組み合わせることで、業界平均の約7分の1の温室効果ガス排出を実現する。一方で、同社の既存設備と比較しても排出量を半減させる性能を持つ。
ケベック州でのAP60拡張は、単なる地域投資ではない。このプロジェクトは技術のスケーラビリティを証明し、今後の海外展開の基盤となる。その結果、リオ・ティントは低炭素アルミの供給能力を強化し、環境規制の厳格化に対応する体制を整える。
欧州・インド・ブラジルで進むグローバル展開
リオ・ティントのアルミ戦略拡大は地域分散にも重点を置く。同社はフィンランド・コッコラで低炭素アルミ新設プロジェクトを検討しており、実現すれば欧州大陸で30年以上ぶりの一次アルミ製錬所となる。この計画にはMitsubishi CorporationやFortumなどが参画する。
一方でインドでは、再生可能エネルギーを活用した統合製錬所を検討している。揚水発電を含む電力契約により、安定したベースロード電源を確保する狙いだ。さらに、ブラジルではAluminum Corp of China Ltdと共同でCBAの買収を進め、南米市場への足場を築く。
このようにリオ・ティントは、カナダと豪州中心の体制から脱却し、地政学リスクに対応した供給網を構築している。各国政府が供給主権を重視する中で、地域分散は競争力の源泉となる。
アルミ戦略拡大のもう一つの柱はリサイクルだ。同社はMatalco事業に50%出資し、北米で再生アルミの生産能力を強化した。リサイクルは一次生産比で最大95%のエネルギー削減が可能であり、コストと環境の両面で優位性を持つ。
リオ・ティントは一次アルミと二次アルミの統合モデルを推進する。この戦略によりスクラップ活用を高度化し、顧客価値を最大化する方針だ。今後はスクラップ回収体制の強化が重要課題となり、政策支援の必要性も高まる。
金属フォーカス 編集部コメント
リオ・ティントのアルミ戦略拡大は、低炭素化と地政学リスク対応を同時に進める動きである。今後はリサイクル統合モデルが競争優位の鍵となる可能性が高い。特に欧州とインドでの投資判断が、グローバル需給構造に影響を与えるだろう。


