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| US critical minerals import reductions |
米国は、国家安全保障と産業競争力を背景に重要鉱物の輸入削減を本格的に推進します。ホワイトハウスは、ニッケル、コバルト、希土類元素(REEs)などの戦略的鉱物について、貿易交渉や輸入制限の可能性を示しました。今回の方針は、国内の鉱物加工能力不足を補い、サプライチェーンの安定化を図る狙いです。
政策背景と国家安全保障への影響
トランプ大統領は、1962年の貿易拡張法第232条を根拠に、商務省(DOC)と米国通商代表部(USTR)に対して他国との交渉を指示しました。この指示は、ニッケルやコバルト、希土類の加工製品(PCMDPs)の供給安定を目的としています。報告書によると、2024年時点で米国は12種類の重要鉱物を100%輸入に依存しており、さらに29種類で50%以上の輸入依存度を抱えています。国内鉱山が存在する鉱物でも、加工能力不足により下流工程で輸入依存が続くのが現状です。
民間投資と国際協力の動き
輸入削減政策は、民間企業の投資意欲にも影響を与えます。価格変動の激しい鉱物市場では、既存の生産施設が閉鎖されるケースもあり、国内製造能力の維持が課題です。そのため米国政府は、必要に応じて輸入関税や最小輸入価格の導入を検討しています。産業界からも支持の声が上がり、Steel Manufacturers Associationのフィリップ・ベルCEOは「迅速な供給確保と同盟国との協力が不可欠」と述べています。
さらに、民間セクターの投資も進行中です。Apple社はMP Materialsと提携し、カリフォルニア州マウンテンパスで希土類リサイクルラインを構築。新しい磁石材料や加工技術の開発も進めます。また、韓国のKorea Zincはテネシー州クラークスビルで74億ドル規模の非鉄金属製錬施設を建設予定です。これにより、ニッケルやコバルトなど13種類の非鉄金属の年間総生産量54万トン規模を見込んでいます。
金属フォーカス 編集部コメント
米国の重要鉱物輸入削減方針は、国内鉱物加工能力の強化とサプライチェーン多角化を促す重要な契機です。今後は企業間の国際連携が進み、希土類や戦略金属の安定供給が投資・製造戦略に直結する局面が増えるでしょう。政策と民間投資の両輪が、北米の鉱物産業競争力を高める可能性があります。


