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| Global green steel markets |
2026年、グリーンスチール市場は規制強化とコスト圧力に直面し、地域ごとに戦略の差異が鮮明化します。欧州、アジア、中東、米国それぞれの対応が市場競争力を左右する見込みです。今年はグリーンスチールの本格的な市場「選別」の年になると見られています。
欧州:規制とコスト圧力の影響
欧州では、1月に導入される炭素国境調整措置(CBAM)が市場環境を大きく変えます。生産者や輸入業者は、温室効果ガス排出量を従来より厳密に算定する必要があります。その結果、曖昧な「グリーンスチール」のブランディングは通用せず、Scope1~3を含む排出強度の明確な基準が求められます。
さらに、Low Emission Steel Standard(LESS)やResponsible Steelによる認証制度が市場の信頼性を支えます。欧州の自動車メーカーや建設会社など大口購入者は、認証済みデータに基づく調達を重視するため、早期対応企業は競争優位を得られます。一方で、エネルギー価格上昇や再生可能エネルギーの導入遅延が課題となり、電気炉(EAF)や直接還元鉄(DRI)を活用した低炭素鋼生産はコスト上昇が避けられません。
中東・北アフリカ(MENA)と中国市場の動向
MENA地域は、EAFベースの新興鉄鋼産業と豊富なガス資源、太陽光を中心とした再生可能エネルギーにより、低炭素鋼の生産で有利な立場にあります。しかし、欧州市場の需要は主にフラット製品であり、MENAの長鋼中心生産とのミスマッチが課題です。それでも、DRI・HBIの輸出や高付加価値製品への展開は今後の成長機会となります。
中国は、従来の高炉製鋼プロセスに比べCO2排出を30~40%削減するグリーンスチールの生産と輸出を進めています。HBISや宝武鋼鉄などは既に欧州向けに認証製品を供給しており、新エネルギー電力の安定供給も後押ししています。しかし、CBAM導入による追加コストが競争力に影響する懸念も残ります。
米国:連邦政策の不確実性と市場分散化
米国では、連邦政府のグリーン政策が後退し、州単位のインセンティブや企業需要が低炭素鋼市場を形成する状況です。EAF比率の高さから米国製鋼材は比較的低炭素とされますが、全国規模の規制統一は進んでいません。このため、グリーンスチールの普及は地域・企業ごとに大きく差が出る可能性があります。
金属フォーカス 編集部コメント
2026年はグリーンスチール市場における「選別の年」となります。欧州のCBAM導入やMENA・中国の戦略的供給、中国の技術進展が、低炭素鋼の国際競争力を大きく左右します。企業は認証制度対応と再生可能エネルギー確保で先行者利益を狙う一方、対応遅れは市場信頼やコスト面で不利になるリスクがあります。


