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| Australian Lithium |
オーストラリアのリチウム業界は、ブラジルとの競争で相対的に遅れを取る可能性があります。Pilbara MineralsのDale Henderson CEOは、西オーストラリアと同様の鉱業環境を持つブラジルのミナスジェライス州での事業が容易であると報告しました。その結果、オーストラリアのリチウム競争力の低下を警告しています。
オーストラリアとブラジルのリチウム事業環境比較
Henderson CEOによれば、オーストラリアのリチウムセクターは成長しているものの、相対的な進展はブラジルなど他国に遅れを取っています。「上流部門が成功しなければ、下流部門も成功しない」と述べ、政府によるインフラ整備とエネルギーコスト低減の重要性を強調しました。Pilbara Mineralsは先ごろ、南米市場参入のために5億6,000万豪ドル規模の買収を完了しており、ブラジルでの運営の容易さを実感しています。
Henderson氏は特に電力コストの差を指摘しました。ブラジルのサリナス鉱山では電力料金が1キロワット時あたり4〜5豪セントである一方、西オーストラリアの鉱山では10〜20豪セントと高く、政府による再生可能エネルギー活用や低コスト電力供給の重要性を訴えています。
リチウム市場の価格動向と構造的需給不足
Pilbara Mineralsはスポジュメン価格の上昇を指摘しています。先月、価格は1トンあたり900米ドルを超え、7月の600ドルから大幅に上昇しました。Henderson氏はこの上昇は持続可能と見ており、強い成長需要と供給投資不足が構造的な需給不足を生むと説明しました。市場は若く、価格発見が十分ではないため、価格変動は依然として大きい状況です。
一方で、この状況は成長機会ともなり得ます。オーストラリアは資源豊富で再生可能エネルギーも豊かであるため、政府と民間企業が協調して効率的なインフラ整備と電力コストの低減を進めれば、リチウム競争力の回復は十分可能です。
金属フォーカス 編集部コメント
オーストラリアのリチウム産業は、ブラジルなど海外勢との競争で相対的に遅れを取るリスクがあります。しかし、再生可能エネルギー活用とインフラ整備に政府が注力すれば、上流から下流までのバリューチェーン競争力を回復可能です。今後の政策動向が市場の構造的需給バランスに直接影響すると考えられます。


