EUフェロアロイ市場保護策:関税割当と可変関税で国内生産維持へ

EU Ferroalloy Market Protection Measures


欧州委員会は、EU内のフェロマンガンフェロシリコンフェロシリコンマンガンフェロシリコンマグネシウムの生産と市場シェアを保護するため、EUフェロアロイ市場保護策として関税割当(TRQ)と割当超過可変関税を組み合わせた措置を提案しました。EU加盟国は11月17日に投票を実施しましたが、議論は依然継続中です。


EUフェロアロイ市場保護策の背景

欧州委員会は2024年12月に開始した安全保障調査で、7社のEUフェロアロイ生産者が低価格の第三国輸入により市場シェアを大幅に失ったことを認定しました。委員会は、低価格が購入者には利益をもたらす一方で、国内産業の維持と安定供給のためには保護措置が必要であると説明しています。今回のEUフェロアロイ市場保護策は、持続可能な市場シェアを確保しつつ、下流ユーザーへの安定供給を意図しています。


割当制度と可変関税の仕組み

提案された措置では、各製品に対して関税免除の割当数量を設定し、割当を超えた輸入には割当超過可変関税が課されます。課税額は、製品ごとに設定された価格閾値と実際の輸入価格との差額で算出されます。年間割当は2022~2024年の平均輸入量の75%相当で、四半期ごとに分割されます。しかし、市場関係者はフェロシリコンの価格閾値€2,408/tが現行市場価格のほぼ2倍であるため、実効性には疑問があると指摘しています。


ノルウェー・アイスランドへの影響

今回のEUフェロアロイ市場保護策は、ノルウェーやアイスランドからの輸入も対象とし、ElkemやFinnfjordなど主要生産者に影響を与えます。欧州フェロアロイ業界団体Euroalliagesは経済統合の観点から対象除外を主張しましたが、委員会は両国輸入がEU生産者に持続的損害を与えていると認定し、措置の適用を正当化しています。2024年、両国はEU総輸入量の47.4%を占めました。


金属フォーカス 編集部コメント

今回のEUフェロアロイ市場保護策は、EU内生産者の競争力維持と安定供給確保に直結します。今後、価格閾値や割当量の調整が市場実需や鋼鉄メーカーへの影響を左右するため、投資家や政策担当者は慎重な動向観察が必要です。また、代替製品の使用や生産プロセスの調整が進む可能性もあります。

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