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| EU Cold Rolled Coil Market |
EUのコールドロールコイル(CRC)市場は、最近の生産停止と輸入規制の影響により、供給がさらに逼迫しています。特にイタリアのマルチェガリア社のレヴェンナ工場で発生した火災は、同社の年間約250万トンのCRC生産能力の一部を停止させ、市場の不安を増幅させました。EU域内のCRC供給は、インド、日本、ベトナム、台湾、トルコからの輸入に対するアンチダンピング調査や輸入割当の変更と相まって、さらに制約される見込みです。
市場供給の逼迫と価格動向
マルチェガリア社の火災以前から、イタリア国内の買い手は供給不足を懸念していました。火災後、スペインやイタリアのバイヤーは輸入から国内生産への調達シフトを検討しています。近年、EUのCRC生産者は需要低迷とコスト高から一部グレードの生産を削減しており、供給余力は限定的です。その結果、4四半期の納入分は既に完売しており、少量のトン数でも€740〜750/tの高額で取引される事例が報告されています。
輸入規制と市場の長期影響
2024年のCRC輸入の約67%を占める5か国に対するダンピング調査の結果次第では、EU域内への輸入量は大幅に減少する可能性があります。さらに、来年4月に予定されるセーフガード制度変更により、免税割当は年間173万トンに削減され、2024年比で53%の減少となります。この状況は、EU市場の供給逼迫をさらに強め、価格上昇圧力となる見込みです。一方、英国市場ではタタ・スチールの連続アニーリングライン停止により、CRC供給が過剰気味となっており、EUとは対照的な状況です。
金属フォーカス 編集部コメント
EU CRC市場の供給逼迫は、国内生産依存度の高まりと輸入規制強化による価格上昇圧力を示しています。投資家やメーカーにとって、今後は供給リスクと価格動向の分析が戦略的判断に直結する重要な要素となるでしょう。
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