英国 ベトナム 鉄筋 輸入規制問題:国内鋼材業界への影響と輸入動向

Vietnamese steel bars imports


英国ベトナム製鉄筋の輸入を巡る規制問題が注目されています。国内業者と当局への事前通報疑惑も浮上し、市場関係者の間で波紋を広げています。


ベトナム鉄筋輸入とWTO基準超過

2024年1月から2025年8月まで、ベトナムからの鉄筋輸入はEU経由を除き5.5%に達しました。EU輸入分を含めると3.1%で、世界貿易機関(WTO)の3%閾値をわずかに超えています。これを受け、英国貿易救済局(TRA)は11月10日に調査を発表しました。国内大手鉄鋼メーカー7 Steelの要請によるもので、発展途上国除外の適用可否が焦点となっています。

英国鉄鋼業界の貿易・経済政策担当ディレクター、ピーター・ブレナン氏は「発展途上国除外制度は不十分である。ベトナムは英国よりも大規模な鋼鉄産業を持ち、輸出量を増やすことで国内業界に損害を与える可能性がある」と指摘しています。


輸入取引と国内市場の制約

ロンドン拠点のトレーダーは7月に21,184トンのベトナム鉄筋を英国に輸入しました。これは1991年以来の初のベトナム製輸入ですが、TRA発表直前に取引が確定しており、追加の大型貨物も到着予定でした。しかし、25%の関税リスクにより、トレーダーは輸入を断念しています。国内製造業者が下流市場の約半分を占めており、公共インフラ向けのサステナビリティ基準も輸入先を制限していることが背景です。


EUおよび他国からの輸入動向

2025年以降、EUは輸入の40%以上を占め、特にポルトガルからの供給が増加しています。トルコは輸入の約3分の1、アルジェリアが16%、エジプトは約5%で残余割当内に位置しています。ある輸入トレーダーは「ウェールズからスクラップをトルコに輸出し鉄筋を製造して再輸入する方が安価」と指摘し、トルコ製鋼材の競争力の高さと英国の保護政策の実態を説明しています。


金属フォーカス 編集部コメント

ベトナム鉄筋輸入規制は、英国国内の高コスト製鋼を保護する意図がある一方、貿易摩擦や供給制約リスクを高めています。今後、WTO基準や他国市場の競争力が、英国鋼材市場に直接影響する重要な要素となるでしょう。

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