タイトル: 中国における亜鉛精鉱TCの上昇と輸入アービトラージの悪化

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亜鉛精鉱TCが上昇し、市場が支えに

2025年10月10日、亜鉛精鉱のスポットTC(処理手数料)が中国で7.32%上昇し、1トンあたり$100-120となったことが報じられました。前回の評価よりも$95-110からの上昇を記録し、市場は現在、上昇局面にあります。この動きは、亜鉛精鉱の処理手数料が正の領域に転じた1月以降続いており、業界の関係者は、100ドル未満での取引が難しくなっていることを示唆しています。

中国や欧州の関係者によると、現在、複数の精錬所は130ドル以上の手数料で取引を進めており、売り手側は100ドル未満での取引を成立させることが難しいと述べています。上海のトレーダーは、「100ドル未満で取引を結ぶことは難しい」と語り、欧州のトレーダーも「現在、処理手数料は二桁を超えており、この上昇傾向は続くだろう」と予測しています。


輸入アービトラージの悪化と地元精錬所の動き

亜鉛精鉱の輸入アービトラージが悪化する中で、中国の精錬所は輸入品の購入を避け、地元の精鉱を優先する傾向を見せています。この背景には、アービトラージの損失が影響しており、最近では輸入品の購入が減少しています。中部中国の精錬所関係者は、「アービトラージ損失が大きいため、最近は輸入フィードをあまり買っていない」と述べています。

亜鉛の輸入アービトラージは、10月10日時点で1トンあたり$488.50の損失となっており、9月26日の$439.58からさらに悪化しています。このアービトラージ計算結果により、国内の亜鉛精鉱が輸入鉱石よりも1,000-1,500元(約140-210ドル)安く取引されることが確認されています。


亜鉛精鉱TCの上昇圧力と今後の展望

精錬所が生産用の原材料を冬季に備えて再仕入れしていることも、亜鉛精鉱TCの上昇を押し上げる要因となっています。また、今後、これらの材料を将来売却したいトレーダーがその立場を維持していることも、TCの上昇を助長しています。「非常に長いポジションを持っているトレーダーがいるため、今後もTCは上昇し続けるだろう」と予測されています。

しかし、4四半期目には精錬能力が増加する見込みであり、TCの上昇が鈍化する可能性も指摘されています。「亜鉛精鉱のTCの増加は、4四半期末に鈍化する可能性がある」とのコメントもあり、今後の市場動向がどう変化するかが注目されています。


金属フォーカス 編集部コメント

亜鉛精鉱TCの上昇は、精錬所の再仕入れ活動とアービトラージ条件の悪化が主な要因です。今後、精錬能力の増加やアービトラージの損失縮小が進む中で、亜鉛市場の動向は大きな転換点を迎える可能性があります。精錬所やトレーダーの戦略が価格に与える影響も今後注視されるでしょう。

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