オーストラリア・米国重要鉱物協定で豪州レアアース企業が躍進

Australia U.S. Important Minerals Agreement


オーストラリア米国重要鉱物協定を締結し、豪州のレアアース・鉱業企業に大きな追い風をもたらしました。米国の投資支援と優遇措置により、サプライチェーンの多角化が加速します。


豪州レアアース企業の二大勝者

今回の協定により、アラフラ・レアアース(Arafura Rare Earths)とアルコア(Alcoa)・双日(Sojitz)JVが主要な恩恵を受けました。アラフラは米輸出入銀行(EXIM)から最大3億ドルの融資意向書(LoI)を受け、ノーランズ・プロジェクト(Northern Territory)の建設資金を確保しました。

一方、アルコア・双日JVは、豪州政府から最大2億ドルの優遇資本投資を受け、WA州のワゲラップ精錬所副産物としてガリウム生産の検討を開始。米国・豪州・日本の共同投資により、世界のガリウム市場の10%をカバーする中国依存度ゼロのサプライチェーン構築を目指します。


主要プロジェクトへの資金投入と建設加速

EXIMは他の6件の重要鉱物プロジェクトにも最大22億ドルのLoIを発行しました。これには、クイーンズランド州のグラファイトプロジェクトや西豪州のレアアース鉱山、ビクトリア州のマグネシウム工場などが含まれます。これにより、豪州の重要鉱物供給能力が飛躍的に向上し、米国・韓国・ドイツなどの市場への安定供給が期待されます。

アラフラのノーランズ・プロジェクトは年間4,440トンのネオジム・プラセオジム、573トンの中重希土類酸化物、約51万トンのリン酸を生産予定で、2026年の初メタル生産開始を目指します。これにより、希少金属の国際市場における競争力が大幅に強化されます。


金属フォーカス 編集部コメント

今回の協定は、豪州のレアアース・重要鉱物の米国向け優遇供給と投資支援を両輪とする画期的施策です。中国依存度の低減に直結し、半導体や電気自動車産業への安定供給を後押しします。今後、下流加工・精錬技術への投資拡大が業界全体に波及効果をもたらすでしょう。

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