米国と東南アジアが締結:重要鉱物・希土類のサプライチェーン多角化に向けた戦略的貿易協定

U.S. signs strategic trade deal with Southeast Asia


米国は東南アジアの主要国と一連の貿易・重要鉱物協定を締結し、希土類資源の安定供給とサプライチェーン多角化を加速させます。中国による希土類輸出規制強化に対応する戦略として注目されます。


米国とマレーシア・タイ・カンボジア・ベトナムの協力体制

米国はマレーシアカンボジアと相互貿易協定を締結し、タイとは貿易枠組み協定を策定しました。ベトナムとも貿易枠組みの協議を開始し、米国製品の輸入拡大による貿易赤字縮小を目指します。これにより、米国は東南アジア市場での優先的アクセスを確保し、輸入関税の削減も実現されます。

加えて、マレーシアは重要鉱物・希土類の米国向け輸出制限を行わない方針を表明しました。中国がマレーシアと希土類精錬の提携交渉を進める中、米国との協定は世界的なサプライチェーン多様化に向けた重要な布石となります。マレーシアには約1,610万トンの希土類埋蔵量があり、今後の下流加工産業の発展が期待されます。


貿易障壁撤廃と多分野での経済協力

協定にはデジタル貿易、サービス、投資分野での協力も含まれています。タイ、マレーシア、ベトナムは米国の自動車安全・排出基準を受け入れ、米国製品の関税を撤廃または軽減しました。マレーシアは化粧品や医薬品、航空宇宙機器、パーム油、カカオ、ゴムなどの関税免除を確保し、タイはほぼ全品目で関税障壁を撤廃しました。

さらに、米国とタイの企業間で飼料用トウモロコシや大豆粕の年間26億ドル相当の取引、航空機80機(総額188億ドル)、液化天然ガス・原油の年間54億ドル相当の購入契約も予定されています。これにより東南アジアは米国市場での戦略的拠点としての役割を強化します。


金属フォーカス 編集部コメント

今回の協定は、米国による希土類・重要鉱物サプライチェーンの多角化戦略を具体化する契機です。中国依存を抑制し、半導体や電気自動車産業への安定供給が期待されます。今後、下流加工・精錬技術への投資拡大が業界に波及効果をもたらすでしょう。

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