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ポーランド政府は、アルセロールミッタルとの会談を通じて、同社のポーランドにおける事業運営の将来について議論を行う予定です。高騰するエネルギー価格と鉄鋼の過剰輸入が、同社のポーランド拠点の運営に影響を及ぼしています。ポーランドの国有資産大臣ウォイチェフ・バルツン氏は、同社の欧州での戦略的計画について、撤退の可能性も含めて話し合うことを明言しました。
アルセロールミッタルのポーランド事業に対する政府の対応
ポーランド政府は、アルセロールミッタルの鉄鋼資産の保護に積極的に関与する可能性がありますが、同社は依然として自主的なビジネス決定を行う国際的な企業体であるため、政府がどこまで関与できるかは不透明です。バルツン大臣は、政府が同社との対話を通じて解決策を模索していると説明しました。
同時に、ポーランドの労働組合は、アルセロールミッタルのポーランド工場の現状が依然として厳しいことを確認しています。ダンブロワ・ゴルニチャの工場での労働組合代表ミロスワフ・ノヴァク氏は、企業が戦略的な大きな変更を発表していないものの、経営陣が高騰する電力価格と安価な輸入鉄鋼の過剰供給による厳しい事業環境を公に認めていると述べています。
市場環境とエネルギー問題
2023年9月、アルセロールミッタルは、ダンブロワ・ゴルニチャの工場の高炉の1基を一時的に停止しました。これは市場環境が厳しいことを示しており、再稼働時期は未定です。労働組合によれば、これは低い生産利益性を意味しています。
アルセロールミッタル・ポーランドは、同国の鉄鋼生産能力の約50%を占めており、ヨーロッパ最大のコークス生産を行っている企業群を形成しています。ポーランドの鉄鋼業界は、エネルギー価格の高騰により、製造の近代化や電気炉への転換が困難な状況にあります。さらに、安価な輸入鉄鋼の流入も大きな課題となっています。
欧州委員会の対策と今後の展望
欧州委員会は、鉄鋼の無関税輸入枠を半減し、関税を50%に引き上げる措置を発表しましたが、これはエネルギー効率の問題を解決するものではありません。ポーランド政府は、アルセロールミッタルが市場から撤退する場合、ダンブロワ・ゴルニチャやカトヴィツェの工場の買収を検討する可能性も示唆しています。
金属フォーカス 編集部コメント
ポーランド政府の介入は、鉄鋼業界の危機的状況を打破する一つの手段となり得ますが、エネルギー問題と鉄鋼輸入過多という根本的な課題には、さらに包括的な対応が必要です。今後、アルセロールミッタルが撤退した場合の後継問題や市場への影響について、慎重な戦略が求められるでしょう。


