ウクライナ鉄鋼業界、鉄道運賃引き上げに反対—2025年から2026年

Ukrmetprom UZ


ウクライナ鉄鋼業界団体「ウクメトプロム(Ukrmetprom)」は、ウクライナ鉄道(UZ)の計画する運賃引き上げが業界に与える深刻な影響を警告しています。鉄鋼業を含む輸出業者にとって、鉄道運賃の引き上げは非常に危険な動きであり、経済のさらなる悪化を招く恐れがあります。鉄鋼製品はウクライナの主要な輸出品であるため、このような運賃引き上げの決定は、業界全体の競争力をさらに低下させる可能性があります。


鉄道運賃の引き上げ計画とその影響

ウクメトプロムによると、ウクライナ鉄道は2025年から2026年にかけて鉄道貨物運賃を27%引き上げ、さらに11%の引き上げを予定しています。この運賃の上昇は、ウクライナの鉄鋼業界にとって致命的な打撃となる可能性があります。ウクライナの鉄鋼業界は現在、戦争前の稼働能力の40~85%で運営しており、すでに高い物流コスト、エネルギー危機、スタッフ不足などの影響を受けています。鉄道運賃の引き上げは、これらの課題をさらに悪化させ、業界の生産性低下や、鉄鋼製品の競争力喪失を引き起こすことが懸念されています。

また、鉄道運賃の引き上げにより、鉄鋼業界の生産が縮小し、予算を支える企業の閉鎖や輸出の減少が予測されます。特に、鉄道運賃(運賃+貨車)のコストはすでに道路輸送よりも高く、運賃引き上げがさらに進むと、貨物が鉄道から道路輸送に移行し、道路の損傷を加速させる恐れがあります。


業界団体の対応と政府への要請

ウクメトプロムは、ウクライナ政府に対して、鉄道貨物運賃の引き上げを見送るよう強く要請しています。政府は、鉄道運賃の引き上げが業界全体の競争力を低下させ、国家の税収や外貨収入を減少させるだけでなく、ウクライナ鉄道の問題を一時的に先送りするだけであると指摘しています。

代替案として、ウクメトプロムは2026年の国家予算において、乗客輸送の損失を補償するための支出を盛り込むことを提案しています。また、ウクライナ鉄道(UZ)の財政負担を軽減し、収益基盤を拡充するために必要な規制の決定を政府と議会から得るよう支援することが重要です。さらに、ウクライナ鉄道のネットワークを現行の輸送量とウクライナ軍のニーズに合わせるための資金調達も必要とされています。


今後の展望と業界への影響

ウクメトプロムは、鉄道運賃の引き上げが鉄鋼業界の競争力に与える悪影響を強調しています。これにより、ウクライナの鉄鋼製品は他国との競争においてさらに不利な立場に立たされ、業界全体の収益が減少する恐れがあります。ウクライナ政府は、鉄道運賃引き上げに頼ることなく、鉄道輸送システムの根本的な問題に取り組む必要があります。


金属フォーカス 編集部コメント

鉄鋼業界はウクライナ経済にとって重要な役割を果たしており、鉄道運賃の引き上げは業界全体にとって大きなリスクを伴います。今後、政府がどのように鉄道業界の負担を軽減し、鉄鋼業の競争力を維持するかが鍵となるでしょう。また、EUの支援を受けて、鉄道輸送の効率化やエネルギー問題に対する対策が求められます。


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