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Codelco |
チリ国営鉱山会社コデルコが、同国の銅生産量が年間約550万トンで停滞する可能性を警告しました。これは、世界の銅サプライチェーンにとって重大な示唆を与えます。コデルコのマキシモ・パチェコ会長は、採掘深度の増大、鉱石品位の低下、コスト上昇を主な要因として挙げました。チリは世界最大の銅供給国です。生産量の長期的な停滞は、エネルギー転換による需要増大を背景に、グローバル市場をさらに逼迫させるでしょう。
コデルコが進める戦略的パートナーシップ
コデルコは生産量の課題に直面しつつも、新たな鉱山事業とパートナーシップを積極的に推進しています。パチェコ会長は、SQMとのリチウム事業提携へのコミットメントを再確認しました。さらに、BHPとのアニージョ銅プロジェクトの探査契約も今週中に締結予定です。アングロ・アメリカンとの共同鉱山計画も数週間以内に最終決定される見込みです。これらの動きは、既存の生産課題を克服し、将来の成長機会を確保しようとするコデルコの戦略を示しています。
SQMとのリチウム契約の展望
SQMのジーナ・オケトー社長は、コデルコとのリチウム事業提携について楽観的な見方を示しました。この提携は、次期政権発足前の批准を目指しています。しかし、先住民との協議プロセスと中国の独禁法規制当局SAMRの承認という2つのハードルが残っています。特に、中国当局は世界のリチウム供給への懸念から慎重な姿勢を示しています。両社の契約が成立すれば、チリ北部のアタカマ塩湖における世界有数のリチウム資産において、コデルコがSQMの生産を過半数支配することになります。
金属フォーカス 編集部コメント
コデルコが警告するチリ銅生産量停滞は、単なる一国の問題ではありません。世界の金属市場における需給バランスを根本から揺るがす可能性を秘めています。この状況は、新たな資源開発への投資や、リサイクル技術の重要性を高めるでしょう。グローバルな鉱山企業は、既存鉱山の効率化と同時に、チリ以外の供給源確保も加速させる必要があります。