キンロスがアサンテゴールドの全株式を売却、ウェストアフリカ金鉱業界に影響拡大

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カナダの大手金鉱山企業キンロスゴールド(Kinross Gold)は、ウェストアフリカを拠点とするアサンテゴールド(Asante Gold)の全株式保有分を割引価格で売却しました。本売却は市場に驚きを与え、同社の投資戦略と西アフリカの金鉱業界に注目が集まっています。

今回の取引では、キンロスはアサンテゴールドの約3,693万株(発行済株式の5.2%)を1株あたり1.80カナダドルで売却しました。アサンテの株価は取引開始時に2.20カナダドルで推移し、その後52週間高値の2.29カナダドルを記録し、時価総額は約16億カナダドル(12億米ドル)に達しています。さらに2週間前には、同社は2,985万株を1株1.55カナダドルで売却しており、これら2度の売却で約1億9,940万カナダドルの資金を調達しました。


ウェストアフリカの金鉱業界とキンロスの戦略変化

アサンテゴールドはガーナにおけるビビアニ鉱山とチラノ鉱山を運営し、複数の探鉱プロジェクトも展開しています。キンロスはかつてチラノ鉱山を10年以上保有していましたが、2022年にアサンテに売却しています。今回の株式売却は、キンロスがポートフォリオの再編を進める中での動きと見られます。

また、アサンテゴールドは2026年度第2四半期の生産量が減少し、損失が拡大するなど業績はやや厳しい状況です。とはいえ、同社は今期のガイダンスを維持しており、ウェストアフリカの金鉱事業の成長可能性に自信を示しています。

キンロスは売却後も転換証券を通じてアサンテの8.4%の持分を維持し、「支援的な投資家」であり続ける意向を表明しました。これは市場に一定の安心感を与える要素です。


金属フォーカス 編集部コメント

キンロスのアサンテゴールド株式売却は、資金調達とリスク分散を目的とした戦略的な動きと捉えられます。一方で、西アフリカの金鉱業界における企業再編や資本流動性の高まりを示し、地域の鉱山開発の進展に影響を与える可能性があります。今後もウェストアフリカの重要鉱物資源をめぐる動向に注視が必要です。

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