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high quality iron ore |
シンガポール証券取引所(SGX)における高品位鉄鉱石先物の取引量が記録的な水準に達しました。2025年8月13日、SGXの65% Fe鉄鉱石先物契約は、18,895ロットという過去最高の取引量を記録。7月には月間90,000ロット以上が取引され、その勢いを継続しています。この取引活況は、高品位鉄鉱石に対する物理的な市場での需要の高まりと、投機的取引やリスクヘッジの必要性が高まっていることを明確に示唆しています。
中国の環境規制と製鉄コストが需要を牽引
高品位鉄鉱石先物の需要急増は、中国の製鉄所が直面する課題と直接的に結びついています。中国政府は環境規制を強化しており、焼結制限が厳格化されています。製鉄所は、焼結効率を高め、生産量を維持するために、低不純物(低アルミナ、リン、シリカ)の高品位鉄鉱石を積極的に使用しています。ブラジル産65% Fe鉄鉱石微粉は、これらの要件を満たす理想的な原料です。さらに、最近の国内コークス価格の上昇は、製鉄コストの増加を招き、高効率な高品位鉱石へのシフトを後押ししています。
高品位鉄鉱石市場における先物取引の重要性
この記録的な取引量は、市場参加者がリスクを管理し、市場変動から利益を得るための有効なツールとして、高品位鉄鉱石デリバティブをますます重視していることを示しています。SGXの65% Fe鉄鉱石先物契約は、Fastmarketsが発行する65% Feブラジル産微粉CFR青島指数に連動しており、高品位鉄鉱石市場に対する精緻なヘッジを提供します。トレーダーや製鉄所は、この先物契約を利用して、ファインズ(微粉)、ペレット、ペレットフィードといった高品位製品のリスクをヘッジしています。これは、将来の鉄鋼生産において高品位原料が市場の主導権を握るという長期的なトレンドを強く示唆しています。
金属フォーカス 編集部コメント
今回の高品位鉄鉱石先物の取引急増は、鉄鋼産業における環境・効率性重視の流れを象徴しています。世界の製鉄所が脱炭素化とコスト削減を同時に追求する中、高品位原料へのシフトは不可逆的な潮流です。この変化は、鉱山会社、トレーダー、そして投資家にとって新たなビジネス機会とリスク管理の重要性をもたらすでしょう。