アルコアが日系企業と提携、ガリウムサプライチェーン構築に向け始動

Alcoa gallium


米国の大手アルミニウムメーカーであるアルコア社が、日本の双日株式会社およびJOGMECと提携しました。この提携を通じて、西オーストラリアにある既存のアルミナ精製施設から半導体原料となるガリウムを副産物として生産する可能性を調査します。中国による輸出規制が強化される中、この動きは新たなガリウムサプライチェーン構築に向けた重要な一歩となります。


中国独占体制への対抗、高まるガリウムの戦略的重要性

ガリウムは半導体、スマートフォン、電気自動車(EV)に不可欠な金属です。しかし、中国が世界の市場をほぼ独占し、2023年には輸出規制を導入しました。この措置は米中間の貿易摩擦が激化する中で、各国にガリウムサプライチェーンの脆弱性を強く認識させました。加えて、中国は翌年には米国への直接供給を全面的に禁止し、国家安全保障上の懸念を表明しました。


アルコアのガリウム生産計画と非中国圏での動き

アルコア社は、西オーストラリアの既存施設を活用することで、新たな価値創出を目指しています。このプロジェクトは、技術分野や国防における世界的目標を支援する可能性を秘めています。アルコアは今年中に最終的な投資決定を行い、2026年のガリウム生産開始を目指す計画です。一方で、リオ・ティント社もカナダのアルミナ事業からガリウム生産の可能性を評価しています。このように、非中国圏でのガリウム供給確保に向けた動きが活発化しています。


金属フォーカス 編集部コメント

今回のアルコアと日本企業の提携は、脱中国依存のサプライチェーン再構築に向けた具体的な行動を示しています。地政学的リスクの高まりが、新たな資源開発や技術革新を促す典型的な例です。今後、非中国圏におけるガリウムの採掘・精製・加工への投資がさらに加速し、市場の勢力図が変化していく可能性があります。


コメントを投稿