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Brazil tariffs on EV imports |
ブラジル外国貿易評議会(Camex)は、輸入**電気自動車(EV)の関税引き上げを18ヶ月前倒しすると決定しました。これに伴い、半完成品(SKD)および完全分解品(CKD)ユニットに対しては、6ヶ月間の全面的な関税免除措置を導入します。この決定は、ハイブリッド車(HEV)と完全電気自動車(BEV)**の双方に適用され、合計関税率を2027年1月までに35%に引き上げるものです。
中国メーカーBYDからの要請を却下
Camexは、中国の自動車メーカーBYDがSKDおよびCKDユニットの関税率をそれぞれ10%および5%に引き下げるよう求めた要請を却下しました。SKD車両は海外で部分的に溶接、塗装、事前製造されたものであり、CKD車両は完全に分解された部品として輸入され、仕向け地で組み立てられます。ブラジルは現在、SKDおよびCKDユニットに対して、完成車と同じ輸入関税を課しています。具体的には、ハイブリッド車には28%、バッテリー電気自動車には25%です。これらの税率は2027年1月までに35%に統一され、引き上げられます。
国内自動車産業保護の意図と短期的な優遇措置
Camexは、中国自動車メーカーへの配慮として、SKDおよびCKDユニットに対し一時的な関税免除枠を設定しました。ブラジル官報での公表後、6ヶ月間は輸入関税がゼロとなります。この枠は4億6,300万ドル相当であり、この金額を超過した場合や6ヶ月期間が終了した場合は、通常の税率が適用されます。ブラジル自動車産業協会(Anfavea)はこの決定を歓迎し、中国自動車メーカーがブラジル市場に不公平な形で参入していると指摘しました。Anfaveaのイゴール・カルヴェット会長は、「6ヶ月間の税制優遇は、ブラジル自動車市場への現在および将来の投資が危険にさらされないための最大限の柔軟性です。この問題が解決されたことを信頼し、公正かつ競争的な方法で当市場に参入を希望する新規自動車メーカーを歓迎します」と述べました。
金属フォーカス 編集部コメント
今回のブラジルのEV関税措置は、国内産業保護と国際競争のバランスを模索する、複雑な政策判断を反映しています。原材料や重要鉱物の上流における国際的なサプライチェーンの再構築が進む中で、完成品および半加工品への関税強化は、国内での製造・組み立てを促し、雇用創出を目指す明確なシグナルです。特に、中国メーカーの急速な市場参入に対する既存メーカーの危機感が、政策決定に大きく影響したとみられます。この動きは、今後のグローバルなEV産業における地域戦略や投資動向に大きな影響を与えるでしょう。