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Rio Tinto copper production |
世界的な鉱業大手であるリオ・ティントは、2025年4月から6月期にかけて銅生産量を大幅に増加させました。同社はこの四半期に精鉱銅と精錬銅を合わせて229,000トン生産し、前年同期比で15%の増加を記録しました。この増加は、モンゴルにあるオユ・トルゴイ地下鉱山からの記録的な高生産量が主要な牽引役となりました。リオ・ティントは、7月16日付の四半期報告書で、2025年の銅生産量ガイダンスレンジを780,000〜850,000トンで維持しつつ、現在はその上限に近い水準での生産を見込んでいると発表しました。
オユ・トルゴイ鉱山は、4月から6月期に精鉱銅で87,000トンという過去最高の生産量を達成し、前年比で65%の急増を見せました。リオ・ティントは今後数年間で同鉱山の生産量を段階的に引き上げ、2028年から2036年までに年間平均500,000トンの銅生産を目指す計画です。一方、チリのエスコンディーダ鉱山(BHPが操業)におけるリオ・ティントの持分ベースの銅精鉱生産量は、採掘量の増加により前年比4%増の87,000トンに達しました。露天掘り銅鉱山での鉱石品位は前年同期の0.99%Cuから0.95%Cuに低下しましたが、生産量増を達成しました。
しかし、米国のケンネコット鉱山とエスコンディーダ鉱山におけるリオ・ティントの銅精錬事業は減速しました。ユタ州ソルトレイクシティ郊外にあるケンネコットの統合銅採掘事業では、地質工学的課題により精錬に利用できる精鉱の量が減少しました。これにより、同サイトの精錬生産量は前年比で16%減少しました。リオ・ティントは、ケンネコット鉱山の地下インフラを建設することで、生産能力を年間250,000トン拡大しています。この拡張は2025年末までに完了する予定であり、今後の銅生産量に貢献すると期待されています。
金属フォーカス 編集部コメント
リオ・ティントの銅生産量増強は、世界的なEV化や再生可能エネルギー需要の拡大に伴う銅需要の高まりに応える重要な動きです。特にオユ・トルゴイの生産増強は、長期的な供給安定性確保に寄与するでしょう。一方で、既存鉱山での地質学的課題や精錬事業の減速は、サプライチェーンの安定化に向けた継続的な投資と技術革新の必要性を示唆しています。