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南アフリカの鉱業研究機関Mintekと国立研究財団(NRF)は、国内鉱業の持続可能な発展と国際競争力強化を目的とした戦略的パートナーシップを締結した。両機関は鉱物バリューチェーン全体での研究能力と革新力を結集し、政策課題への科学技術的解決策を加速する。
Mintek会長Thibedi Ramontja氏は、「鉱物・冶金分野で国際的評価を得るMintekと、研究資金・人材開発に強みを持つNRFの提携は、強力なシナジーを生む」と述べた。NRFのFulufhelo Nelwamondo CEOは、両機関の連携によって、持続可能で効率的な鉱業運営に向けた実用的かつ拡張可能なソリューション創出が可能になると説明した。
この協定は、鉱業および鉱物加工分野での技術・研究能力の空洞化という南アフリカの国家的課題に対処するもの。MintekのMolefi Motuku CEOは、探鉱から環境管理、スマート運営計画に至るまでの全バリューチェーンで、構造的な人材育成プログラムが不足していると指摘した。
提携の重点分野には、自動化、遠隔操業、AIによる鉱物処理、ビッグデータ活用などが含まれ、これらは南ア産業の将来競争力を左右する「必須技術」として位置付けられている。
また、南アはグリーン経済と技術変革の中心にある「戦略的鉱物」への国家的注力を強めており、白金、マンガン、鉄鉱石、石炭、クロム鉱石が重点対象に挙げられている。Motuku氏は「これらの資源はEV、水素燃料電池、風力発電、先端製造の中核技術を支える。単なる採掘にとどまらず、国内での高度加工と産業エコシステムへの統合が必要だ」と強調した。
金属フォーカス編集部コメント:
南アフリカの鉱業は依然として国家経済の根幹を成すが、世界的な脱炭素化とデジタル化の流れの中で、単なる資源供給国から高度加工・技術主導型のプレーヤーへと進化できるかが問われている。MintekとNRFの提携は、こうした構造転換の布石であり、AIや自動化技術による鉱物加工の高度化、人材育成の持続的な仕組みづくりが今後の国際競争力を左右するだろう。ただし、実効性ある成果を上げるには産学官の連携と安定した政策基盤が不可欠であり、長期的視点での継続支援が求められる。
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