Antofagasta |
銅需要増加に対応、チリ北部の高品位資源を長期探鉱で開発加速
環境承認を前提に、700カ所超の試錐で鉱量拡張と採掘体制整備へ
英系チリ大手のアントファガスタ(Antofagasta)は、チリ北部のCachorro(カチョロ)銅鉱床への探鉱投資として2億2,000万ドル(約350億円)を拠出する計画を発表した。7年間で700カ所以上のボーリング調査を実施し、将来の本格開発に向けた地質評価を進める。
ただし、この投資は本年初めに提出された環境影響評価(EIA)の承認を条件としている。アントファガスタは本案件を、グローバルな脱炭素化とEV化による銅需要拡大への対応と位置づけており、資源基盤の強化を図る。
Cachorro鉱床は2017年に初期探査が始まり、現在までに銅品位1.26%、埋蔵量2億5,500万トンと評価されている。これは世界的にも高品位の部類に入り、将来的な採算性に優れる資源とみられている。
アントファガスタは今後、水平坑道の建設を含む地下開発を進め、より深部かつ効率的なアクセスを確保する方針だ。これは同社が注力する「長寿命・高品位資産への集中戦略」の一環であり、チリの既存鉱山との連携によるシナジーも視野に入れる。
同社はすでにロス・ペランブレスやセンテナリオといった主力鉱山を抱えており、インフラの近接性もCachorroの経済性を支える要素となる。アントファガスタはこの長期探鉱プロジェクトを通じて、チリ国内の供給安定性確保と埋蔵量拡張戦略をさらに推進する考えだ。
金属フォーカス編集部コメント
Cachorroへの大規模探鉱投資は、世界的な銅供給リスクの高まりに対する戦略的対応といえる。特に、チリの安定した鉱業政策と優良インフラに支えられたプロジェクトは、今後のメジャー鉱山開発のモデルケースとなる可能性がある。環境承認の取得がカギだが、実現すればエネルギー転換時代における中南米の資源重要性が一段と高まる。
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