トルコの粗鋼生産、4月に前年比7%増 鉄鋼業は成長持続へ布石

銑鉄

月間ピッグアイアン生産は減少も、年間見通しは堅調

インフラ再建と地域輸出が生産を下支え

2025年4月のトルコにおける粗鋼生産は301万トンとなり、前年同月比で7%増加した。これは世界鉄鋼協会(WorldSteel)の統計によるものである。

ただし、前月比では3.9%の減少となり、季節要因や需要変動の影響が伺える。トルコの鉄鋼業界では、2024年を通じて前年比9.4%の成長を記録しており、2025年も堅調な動きが期待されている。

一方で、ピッグアイアン(銑鉄)の生産は依然として低迷しており、4月の生産量は75.8万トンと、前年同月比11%減、前月比でも9.4%減となった。1〜4月累計では、粗鋼生産が1%減の1,227万トン、銑鉄生産が11.6%減の307万トンにとどまっている。

2024年の年間実績では、トルコの粗鋼生産は3,689万トン、銑鉄生産は1,019万トンに達した。これはそれぞれ前年比9.4%増、17.2%増という高い伸び率であり、月平均でも粗鋼が307万トン、銑鉄が84.8万トンと過去2年の停滞を脱した結果である。

こうした成長を後押ししたのは、地震被災地の復興を中心としたインフラ整備と、近隣諸国向け輸出の増加、さらには製鉄所の設備近代化である。しかし、アジア諸国との競争激化や世界的な需要の不安定化といった課題は依然として残る。

2025年も政府の投資支援や地域市場の拡大、脱炭素技術の導入が進むことで、生産面では引き続き好調が予想される。一方で、原材料価格の下落や地政学的リスクがマクロ経済環境を左右する可能性には注意が必要だ。

世界鉄鋼協会は、2025年のトルコ国内鋼材需要が前年比1.7%減の3,550万トンになると予測している。2024年の見込みも前年比5.5%減の3,600万トンで、需要面では調整局面が続く見通しだ。

金属フォーカス編集部コメント:

トルコの鉄鋼産業は、地政学的リスクと需要変動の中で依然として堅調な成長基盤を維持している。中長期的にはグリーン製鉄の導入や周辺地域との連携強化が競争力向上の鍵となるだろう。


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