トロ・エナジー、豪WA州のレイク・メイトランド・ウラン計画で経済性改善を強調

Toro Energy

予測NPVは9億800万豪ドルに上昇、ウラン採掘禁止政策の見直し求める声も拡大

ASX上場のトロ・エナジー(Toro Energy)は、西オーストラリア州レイク・メイトランドで進めるウラン・バナジウム開発計画の経済性が大幅に改善したと発表した。
この発表は、ウラン採掘に対する州政府の消極的な政策に変化を求める声が高まる中での重要な進展である。

同社が2025年5月28日に発表したスコーピングスタディ更新版によると、レイク・メイトランド単独鉱山・処理事業の税引前NPV(8%割引率)は9億800万豪ドルと評価された。
これは2024年6月の前回評価から7,500万豪ドル(約9%)の上昇となる。

今回のNPV改善は、資源量の見直しと鉱山計画の最適化によるものだ。
さらに、事業開始から18カ月という短期間での投資回収が可能とされており、財務的な魅力が際立っている。

レイク・メイトランド計画は、鉱山寿命16.3年間で、総額23.3億豪ドルのEBITDAを見込む。
税引前キャッシュフローは約20億豪ドルに達し、初期資本コストは2億1,620万豪ドル(予備費と設計費別)と見積もられている。

年間平均生産量は、酸化ウラン(U₃O₈)が2,200万ポンド、五酸化バナジウム(V₂O₅)が1,230万ポンド。
操業初期5年間のC1コストはU₃O₈換算で15.46米ドル/ポンド、AISCは20.68米ドル/ポンドと、世界的に競争力の高い水準だ。

トロ社のリチャード・ホムサニー会長は、「レイク・メイトランドの評価を重ねるごとに事業の質が一層向上している」と述べた。
また、ウィルナ・ウラン計画内の他の資産、センチピード・ミリピードおよびレイク・ウェイ鉱床との統合によるシナジー創出にも言及した。

一方で、WA州政府は2017年以降「新規ウラン鉱業を認めない」政策を堅持しており、トロの開発には依然として政策的な障壁が残る。
しかし、2025年2月に実施されたAMEC(豪鉱業・探鉱協会)の世論調査では、WA州住民の57%がウラン採掘解禁に賛成と回答し、2023年比で8ポイントの上昇を示した。

金属フォーカス編集部コメント:

レイク・メイトランド計画の経済性は、脱炭素を支えるウラン供給源としての豪州の潜在力を強調する材料だ。政策転換が実現すれば、WA州は世界の原子力燃料市場における新たな供給地として注目されるだろう。一方で、規制リスクと社会的合意の構築が今後の最大の課題となる。

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