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Assofermet |
欧州減産とアジア勢の圧力、需要低迷で市場は不透明感増す
イタリアの鉄鋼貿易団体アッソフェルメット(Assofermet)は、2025年5月時点で世界の薄板鋼市場に深刻な不透明感が漂っていると警告した。欧州を中心に生産は縮小傾向にあり、需要も依然として弱い。一方で、インドのみが例外的に増産傾向にあるという。
5月上旬にミラノで開催されたMade in Steel以降、市場の勢いは失速した。アッソフェルメットは、「市場は方向感を欠き、欧州ミルは減産を進めつつも、保護主義的措置を背景に高値を維持。一方、アジア勢は国内需要が低迷し、対米輸出も困難な中で価格圧力を強めている」と指摘している。
タラント製鉄所火災と政策動向が今後の焦点に
5月初旬の市場は静観ムードに包まれ、流通業者・需要家の間に警戒感が広がった。中でも注目されたのが、旧イルヴァ製鉄所(現アッチャイエリ・ディターリア)の火災問題だ。同施設の生産体制や雇用の継続性を巡り、市場では先行き不安が強まっている。
アッソフェルメットはまた、欧州の貿易規制強化や低炭素製鋼への移行政策を注視していると述べた。2025年後半(第3〜第4四半期)に予定される規制改正が、市場の分岐点となる可能性があるとして、今後の政策動向が大きなカギを握ると見ている。
金属フォーカス編集部の視点:
薄板鋼市場は、供給縮小とアジアからの輸出圧力の板挟みにあり、価格形成の指針を欠いている。特に欧州では、脱炭素政策と安全保障上の鉄鋼政策が複雑に絡み合っており、政策対応を見誤ると供給不足や価格乱高下に繋がりかねない。グローバルなフラット製品市場は、今後も政策と地政学的リスクに大きく左右される展開が続くだろう。
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