米国リサイクルスチール市場と燃料コスト急騰の動向

Recycled steel market


米国リサイクルスチール市場の安定推移と燃料サーチャージ高騰の衝撃

米国リサイクルスチール市場は、8月下旬から9月中旬にかけて価格の全般的な安定を維持しました。原料データ集計サービス(RMDAS)がこの堅調な市況を証明しています。主要指標であるNo.1重厚スクラップ(HMS)の全国平均価格は、1トン当たりわずか2ドルの下落にとどまりました。一方で、発生スクラップ(Prompt grades)は老廃スクラップに対して50〜118ドルの大幅なプレミアムを維持しています。


地域間格差と物流コスト増大の要因

米国リサイクルスチール市場における取引価格は、地域ごとに明確な相違を見せています。米国南部でのNo.1 HMS価格は1トン当たり平均383ドルに達しました。対照的に、北部中西部では354ドルにとどまり、南部が圧倒的な価格維持力を示しています。その結果、各地域の製鉄所は需給バランスに応じた調達戦略の変更を余儀なくされています。

急騰する燃料価格が、金属リサイクル業界と製鉄メーカーの収益を圧迫しています。全米のディーゼル燃料価格は1ガロン当たり6.25ドルを超え、過去最高値を更新しました。これを受けて、ノース・アメリカン・ステンレス(NAS)は51%という高水準の燃料サーチャージを導入しています。リサイクル大手のオルター・トレーディングも、トラック輸送費の上乗せ対応を大幅に強化しました。

輸出市場での価格上昇も、米国リサイクルスチール市場の底上げに寄与しています。ロサンゼルス港やニューヨーク港からの輸出品価格は、9月初旬の318〜330ドルから340〜350ドル台へと上昇しました。このように、物流コストの高騰と世界的な需要回復が複雑に交錯する局面を迎えています。


金属フォーカス 編集部コメント

燃料コストの劇的な上昇はスクラップ収集網の収益性を圧迫し、中長期的な集荷量の低下を招くリスクを秘めています。一方で、発生スクラップの強い需要と輸出価格の引き上げは、北米電炉メーカーの原料調達戦略に転換を迫るでしょう。今後は物流費転嫁の成否が、各社の営業利益率を左右する決定的な要因となります。


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