EU鉄鋼輸入規制強化、輸入クォータ47%削減と関税引き上げで産業保護を本格化

EU steel import quotas


European ParliamentEU鉄鋼輸入規制強化を圧倒的多数で承認し、域内鉄鋼産業保護政策を本格化させた。今回の措置は無関税輸入枠を年間1,830万トンに制限し、2024年比で約47%削減する内容で構成されている。最終的な施行はEuropean Councilの承認後、7月1日から開始される予定である。

今回のEU鉄鋼輸入規制強化は、2018年から適用されてきた既存セーフガード措置に代わる新制度として設計されている。EUは世界的な鉄鋼の過剰生産が市場の構造的歪みを拡大させていると判断し、無関税枠の大幅縮小に加えて、枠超過分に対して従来の25%から50%へ引き上げられた関税を適用する強硬な政策を導入した。

さらにEU鉄鋼輸入規制強化は、原産地判定ルールとして「melt and pour」方式を採用している。このルールは最終加工地ではなく、鉄鋼が最初に溶解・鋳造された地点を原産地とみなす仕組みであり、第三国での単純加工を通じた迂回輸出を抑制する狙いがある。その結果、国際鉄鋼貿易における透明性と追跡可能性は大幅に強化される見通しである。

またEU鉄鋼輸入規制強化は、脱炭素政策と産業競争力強化を同時に推進する枠組みとしても機能する。EU鉄鋼メーカーは電炉(EAF)への投資を加速しており、この政策は炭素国境調整メカニズムCarbon Border Adjustment Mechanismと連動することで、域外製品のコスト競争力をさらに低下させる構造となっている。加えてUkraineは特別配慮対象として扱われ、戦時下にある鉄鋼産業への影響を考慮したクォータ配分が実施される。

今回の規制は、鉄鋼を単なる基幹素材ではなく防衛・戦略産業の中核と位置付けるEUの政策転換を反映している。その結果、域内生産の強化とサプライチェーンの再編が今後さらに進展する可能性が高い。


金属フォーカス編集部コメント

今回のEU鉄鋼輸入規制強化は、保護貿易政策と脱炭素戦略が統合された転換点として評価される。短期的には輸入制約強化による価格上昇圧力と貿易摩擦の拡大が懸念される。長期的にはCBAMと電炉シフトが同時進行し、世界鉄鋼市場の構造再編が加速すると見られる。

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