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| Vietnam trade |
ベトナムは政策インセンティブを背景にリサイクルハブとしての地位確立を目指しているが、産業インフラと需要構造の制約が同時に存在している。 一方で中国を中心とした貿易再編と東南アジアのトランスシップ拡大は、スクラップ流通の多極化を加速させている。 その結果、非鉄金属市場は地域分散型の競争構造へと移行している。
中国貿易再編と東南アジアスクラップフローの構造変化
中国を中心としたスクラップ輸入構造の変化は、グローバル非鉄金属供給網を再編している。 米中貿易摩擦の激化により米国製品への関税が最大125%に達し、中国の輸入業者は調達ルートの再構築を進めている。 特に銅スクラップおよびアルミニウムスクラップは、東南アジアおよび日本を経由するトランスシップメント取引が拡大している。 加えて欧州、英国、中東からの供給分散が進む一方で、EU輸出規制強化と港湾検査の厳格化が不確実性を高めている。 その結果、市場参加者は新たな中継ハブとしてベトナムの可能性に注目している。
ベトナムのリサイクル産業政策拡大と投資インセンティブ構造
ベトナムのリサイクル産業育成は脱炭素政策と連動して強化されている。 政府は2050年ネットゼロ目標に向けてリサイクル分野への投資優遇を拡大している。 リサイクルおよび廃棄物処理施設には法人税10%の15年間優遇措置が適用されている。 さらに省エネ製造業には17%の優遇税率が設定されている。 またバッテリーリサイクル企業は年間最大3件の支援パッケージを申請可能となっている。 これらの政策は初期投資リスクの軽減に寄与している。
スクラップ輸入規制と産業構造上の制約
ベトナムのスクラップ産業は輸入規制と非公式収集構造により制約を受けている。 国内スクラップ収集は約4,000の小規模工房を中心に構成されており、産業の標準化が進んでいない。 公式に認可されたリサイクル企業は約35〜54社にとどまっている。 さらに鉄鋼原材料の70%以上が輸入依存という構造が続いている。 その結果、輸入規制の強化は供給安定性の確保を難しくしている。
アルミニウムおよび銅スクラップ市場競争と価格構造の変化
非鉄スクラップ市場はアルミニウムを中心に拡大しているが、構造的不均衡が存在する。 アルミニウムスクラップ価格は押出材基準で1トンあたり3,100〜3,150ドルまで上昇している。 一方で銅スクラップは輸入ライセンス制限により、国内供給中心の構造が維持されている。 中国、タイ、マレーシアの供給業者間で競争が激化し、価格変動も拡大している。 その結果、ベトナム市場は限られた供給を巡る高競争環境へ移行している。
グローバルスクラップハブ競争と多極化構造の進展
グローバルスクラップ供給網は単一ハブではなく多極構造へ移行している。 タイは成熟したリサイクル産業と自動車産業基盤により安定したハブ機能を維持している。 中東はUAEおよびサウジアラビアを中心に今後10年で主要トランスシップハブへ成長する可能性がある。 さらにバングラデシュとパキスタンは補助的ルートとして検討されている。 その結果、非鉄スクラップの国際フローは地域分散型構造として定着しつつある。
金属フォーカス 編集部コメント
ベトナムは政策主導の成長戦略を進めているが、産業インフラと規制構造に課題を抱えている。 特に非公式収集依存と厳格な輸入ライセンス制度は、供給拡大の制約要因となっている。 今後の非鉄スクラップ市場はベトナム単一ハブではなく、多極競争型構造へ長期的に移行する可能性が高い。


