米国裁定再開で加速する銅流入:Comex銅在庫が過去最高を更新し市場構造が再編

Comex copper stocks


米国Comex銅在庫は現在、裁定取引(アービトラージ)の再開を背景に過去最高水準へ達している。トレーダーは米国とロンドン金属取引所(LME)の価格差を利用し、銅地金を米国へ大量搬入している。さらにこの動きは2025年を通じて続いた供給再配分の延長線上にあり、世界銅物流の再編圧力を強めている。


米国裁定再開とComex銅在庫の急増

Comex銅在庫の急増は、米国市場における価格裁定の再開によって加速している。米国Comex銅在庫は0.5%増加し603,745ショートトン(約547,708トン)へ達し、3月2日の過去最高水準601,716ショートトンを更新した。その結果、米国市場は再び世界銅フローの主要吸収地として機能している。

一方でComex価格がLME価格を上回る局面が発生し、トレーダーは米国向け輸送を再び拡大している。加えて2025年初から続いた裁定環境が再び開いたことで、数十万トン規模の銅が米国倉庫へ流入する構造が再強化されている。


関税不確実性と世界銅フローの再配分

銅在庫の増加は米国関税政策を巡る不確実性と密接に連動している。米国は精製銅に対して最終的に関税適用を免除したが、政策判断は依然として見直し対象となっている。その結果、トレーダーは関税リスク回避のため在庫積み増しを継続している。

さらにMercuriaの金属部門責任者は、少なくとも7月まで米国への銅流入が続く可能性を指摘している。その結果、世界銅市場では短期的な供給地理の歪みが固定化しつつある。加えて、米国・欧州・アジア間での価格差が再び裁定取引を誘発する循環構造が形成されている。


ニューオーリンズ集中と米国在庫構造の偏在

米国銅在庫の集中は物流拠点構造の偏在を明確に示している。Comex在庫のうち約3分の2にあたる414,984ショートトンがニューオーリンズに集中している。この結果、米国南部の物流ハブが世界銅供給再配分の中心として機能している。

加えてこの集中構造は供給リスクと価格変動リスクを同時に高めている。そのため、在庫水準の上昇は単なる供給増加ではなく、地理的リスクの蓄積として市場に影響を与えている。

米国銅市場は現在、裁定取引主導の構造変化局面に入っている。その結果、短期的な価格差ではなく、物流・政策・在庫の三層構造が市場形成の中心要因となっている。


金属フォーカス 編集部コメント

今回のComex銅在庫急増は、銅市場が純粋な需給バランスではなく裁定主導の構造へ移行していることを示している。特に関税リスクと価格差は今後も国際銅フローを歪める要因となるだろう。今後は在庫地理と政策リスクが価格形成の重要な決定軸になる可能性が高い。

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