米国航空宇宙・半導体業界でレアアース不足が深刻化、貿易緊張緩和後も供給は回復せず

Aerospace rare earth


米国の航空宇宙および半導体向けサプライヤーは、レアアース不足の悪化に直面しています。特にイットリウムスカンジウムなどの希少元素は、防衛技術や航空宇宙、半導体に不可欠ですが、ほぼ全量が中国で生産されています。中国は昨年4月の輸出規制後に多くの輸出を再開しましたが、米国への出荷は依然として極めて限られています。今後、米中首脳会談でこれらの供給問題も議題になる見通しです。


航空宇宙産業におけるイットリウム不足の影響

イットリウムは、高温環境でもエンジンやタービンが溶けないようにするコーティングに使用されます。これらのコーティングが不足すると、エンジンの稼働が制限されます。過去1年で価格は約69倍に高騰し、いくつかのメーカーは供給を大口顧客に優先するため、小規模顧客の注文を断る状況にあります。北米の一部企業は、一時的に生産を停止する事態も発生しています。現時点でジェットエンジンの生産自体に大きな影響は出ていませんが、航空機部品の需要増に対して供給リスクは高まっています。


半導体産業におけるスカンジウム不足の懸念

米国の半導体メーカーもスカンジウム不足に直面しており、次世代5Gチップの生産が危ぶまれます。年間生産量が数十トンに過ぎないスカンジウムは、燃料電池や航空宇宙用アルミニウム合金、先端チップ加工・パッケージングに重要です。米国企業は中国からの輸出ライセンス取得に遅延が生じ、政府に支援を求めています。現在、米国にはスカンジウムの国内生産がなく、供給源は中国に依存している状況です。


金属フォーカス 編集部コメント

米国航空宇宙・半導体業界におけるレアアース不足は、グローバルサプライチェーンの脆弱性を露呈しています。特にイットリウムとスカンジウムの安定供給は、次世代航空機や5Gチップ開発の鍵です。投資家や政策担当者は、中国依存の現状と代替供給網構築の重要性に注目すべき事例です。

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