EUのCBAM導入による鉄鋼・金属市場の影響と業界対応の課題

CBAM steel and aluminium


EUはクロスボーダー炭素調整メカニズム(CBAM)を正式導入しましたが、鉄鋼・金属業界では混乱と不確実性が続いています。

Eurometalのアレクサンダー・ジュリアス会長によれば、導入直後の2週間は特に中小企業にとって対応が困難でした。多くの企業は、重要書類が炭素関税導入前日に公表されたため、十分な準備時間を確保できませんでした。


CBAM導入の影響と輸入契約の停滞

1月以降の新規供給契約締結は減速しています。多くの企業が、さらなる輸入契約を結ぶ前にリスク評価と明確な規制情報を待っているためです。報告期間の最初の6日間で申告されたCBAM対象輸入は166万トンに達し、その98%が鉄鋼製品でした。これは、2023~2025年の移行期間中から既に鉄鋼製品が中心であったことを示しています。

欧州委員会は2025年12月に、計算係数に関する1,600ページ以上の新規資料を公開しました。しかし、公開のタイミングが不適切だったため、鉄鋼サプライチェーン全体に混乱をもたらしました。ジュリアス会長は、CBAM対応担当者の多くが1月5日まで資料を確認できなかったと指摘しています。


鉄鋼・金属業界への示唆

EUは2025年12月、CBAM対象を鉄鋼やアルミニウムを含む180種類の工業製品に拡大しました。この措置により、鉄鋼・アルミ市場に対する規制リスクが増大し、輸入企業や製造業者は計画的な調達戦略を求められます。加えて、サプライチェーン全体でのリスク評価が不十分だと、価格変動や契約遅延の影響が長期化する可能性があります。

投資家や政策担当者にとって、CBAMは欧州市場での鉄鋼・金属取引の透明性向上と同時に、輸入コスト増加や戦略的調達の再検討を促す指標となります。特に中小企業は、規制対応力の強化が競争力維持に直結する状況です。


金属フォーカス 編集部コメント

EUのCBAM導入は鉄鋼・金属市場の構造変化を加速します。

特に中小企業はリスク管理と契約戦略の見直しが不可欠です。

今後は鉄鋼・アルミ市場の価格動向とサプライチェーン透明化が、欧州の産業戦略に直結すると考えられます。


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