ノルウェー、深海採鉱を2029年まで停止:希少金属供給と環境リスクの狭間で

Norway halts deep sea mining


ノルウェー政府は、与党と野党間の予算合意に伴い、同国領海内での深海採鉱を一時停止すると発表しました。2029年まで新規ライセンスは発行されず、昨年承認された探索許可の計画は事実上凍結されます。この決定は、昨年ノルウェー議会が承認した28万平方キロメートルの海域のうち、約38%に相当する386のオフショアブロックでの探索ライセンス発行計画を覆すものです。


深海採鉱の戦略的重要性と米国の動向

ノルウェーは本来、欧州向けの重要な希少金属電池用金属(銅、ニッケル、マンガンなど)の供給を確保するため、北極圏での深海採鉱を推進する方針でした。しかし、採鉱開始は2030年以前には見込まれず、環境リスクと政治的合意が優先されました。一方、米国では大統領令により深海採鉱の迅速化が図られ、The Metals Company(TMC)が商業回収許可と探索ライセンスを申請しています。TMCの探索対象海域は19万9,895平方キロメートル、商業回収許可区域は2万5,160平方キロメートルに及びます。


潜在的資源量と環境リスク

TMCの調査によれば、Clarion-ClippertonゾーンにはSEC SK 1300規格準拠の海底鉱物1.63億トンが存在し、探索余地はさらに5億トンと推定されます。資源には1,550万トンのニッケル、1,280万トンの銅、200万トンのコバルト、3億4,500万トンのマンガンが含まれる見込みです。クック諸島や日本も領海内での深海採鉱を検討中ですが、支持者は陸上採鉱より環境負荷が低いと主張する一方、批判者は海底生態系への深刻な影響を警告しています。


金属フォーカス 編集部コメント

ノルウェーの深海採鉱凍結は、希少金属の安定供給と環境保護のバランスを象徴する決定です。欧米での政策差が今後の市場価格や投資判断に影響を与える可能性が高く、関係企業や投資家は動向を注視すべきです。

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