Glencore、カナダ最大の銅製錬所「ホーン精錬所」閉鎖を検討 – 北米銅供給に影響か

Glencore Horne Smelter


スイスの大手コモディティ企業Glencoreは、カナダ・ケベック州にある**カナダ最大の銅製錬所「ホーン精錬所(Horne Smelter)」**の閉鎖を検討していると報じられています。これは環境対応コストや運営コストの高騰が背景にあるとされ、北米市場における銅供給への影響が懸念されています。


ホーン精錬所とカナダ銅精錬業の現状

ホーン精錬所は濃縮銅鉱石を処理して銅アノードを製造し、その後隣接するCanadian Copper Refinery(CCR)でカソード銅に精製しています。業界関係者の推計によると、両施設の年間銅生産量は30万トン以上に達し、その大部分は米国市場に輸出されています。しかしながら、閉鎖となれば両施設で働く約1,000人の雇用が影響を受ける可能性があります。

Glencoreは、両施設を環境規制に適合させるために2億ドル以上の投資が必要と報じられており、同社は公式には閉鎖計画を否定しています。ただし、同社スポークスパーソンは「世界的に製錬所は財務・規制・運営上の大きな圧力に直面しており、カナダの施設も例外ではない」と認めています。北米および国際市場における重要な原材料供給源として、ホーン精錬所とCCRの役割は依然として大きいと説明しています。


グローバル銅市場への影響

カナダは米国への銅輸出でチリに次ぐ第2位の供給国であり、米国輸入の約17%を占めています。Glencoreのカナダ事業閉鎖の可能性は、チリやインドネシアの主要鉱山での供給不安と相まって、世界的な銅不足リスクを一層高めると予想されます。加えて、ホーン精錬所は1980年から電子スクラップのリサイクルを手がけており、年間約10万トンの廃電子機器から銅、ニッケル、コバルト、金、銀を回収しています。この先進的なリサイクル機能が停止すれば、北米における循環型資源供給にも影響を及ぼす可能性があります。


金属フォーカス 編集部コメント

Glencoreのカナダ製錬所は北米銅供給の重要拠点です。閉鎖が現実化すれば、米国市場の供給不足が深刻化し、価格上昇圧力が強まるでしょう。また、環境対応コストの高騰は他国の製錬所にも波及し、長期的には循環型資源の再利用戦略がさらに注目されます。

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