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| Fortescue metals group |
オーストラリアの大手鉱山企業フォーテスキュー・メタルズ(Fortescue Metals Group, ASX: FMG)の創業者で会長のアンドリュー・フォレスト氏は、戦略的金属に関する市場の過熱報道について「大騒ぎするほどのものではない」と述べました。10月20日に米国とオーストラリアが署名した戦略鉱物に関する協定にも触れつつ、同社は引き続きクリティカルマテリアル事業に注力する方針です。
フォーテスキューのクリティカルマテリアル戦略
フォレスト氏は、ブラジルでのレアアース探査について「豊富に存在する」と語り、同社の成長・エネルギー部門のCEOであるガス・ピショット氏が「バケツいっぱいの鉱物を発見した」と報告しました。さらに、同社子会社Wyloo MetalsとHastings Technology Metals(ASX: HAS)は、カナダのUcore Rare Metals(TSXV: UCU)と長期オフテイク契約と水処理技術の検討に関する非拘束契約を締結。西オーストラリア・ヤンギバナ鉱山の濃縮物およびルイジアナ州でのハイドロメタル加工を視野に入れています。
フォレスト氏は「戦略的金属の価格は世界的に下落傾向にあるが、我々は鉱山からの安定供給を重視する」と述べ、実需重視の投資方針を明確化しました。
脱炭素とグリーンエネルギーの挑戦
同氏はフォーテスキューが2030年までに実現を目指す「真のゼロエミッション」達成に対してもコミットメントを表明。2022年に62億ドルを投じた脱炭素化プロジェクトは、長期的な収益性に寄与すると強調しました。一方で、一部のグリーン水素プロジェクトは経済性の低さから撤退しましたが、「失敗の試行こそが成功への最短ルート」と語り、研究開発(R&D)への注力が新たな価値創出につながると指摘しました。
フォレスト氏はさらに、化石燃料企業や米国トランプ政権を批判。「再生可能エネルギーの普及が歴史的な転換点を迎える一方で、一部は過去に固執している」と述べ、クリーンエネルギーへの投資と経済成長の両立を強調しました。
金属フォーカス 編集部コメント
フォーテスキューの戦略は、希少性よりも実需と供給安定性を重視する姿勢が特徴です。世界的なクリティカルマテリアル市場での過熱報道にも左右されず、R&Dと脱炭素投資を並行して進める同社のアプローチは、長期的な鉱業価値創出におけるモデルケースといえます。


