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| COP30 Climate Summit Critical Minerals |
世界のエネルギー転換と重要鉱物の役割
COP30気候サミットでは、公正なエネルギー移行(Just Energy Transition)における重要鉱物の重要性が議論の中心に浮上しています。英国は銅、リチウム、ニッケル、コバルト、希土類元素などの重要鉱物をエネルギー転換サプライチェーンに組み込む提案を行い、欧州連合(EU)、オーストラリア、アフリカ諸国が支持しています。特にタンザニアは、このテーマにおいてリーダーシップを発揮しています。
ニューヨークのNatural Resource Governance Instituteのメリーサ・マレンゴ氏は、「重要鉱物に関する持続可能な開発の推奨がCOP成果文書に盛り込まれれば、世界の重要鉱物利用におけるパラダイムシフトを示す」と述べています。昨年、国連が招集したパネルは、持続可能で公平な重要鉱物産業のための原則と推奨事項を示しており、今回の議論はその方向性を支持するものです。
各国の立場と市場への影響
ジンバブエは、アフリカ最大のリチウム生産国として、国家戦略に鉱物ガバナンスを組み込みました。南アフリカ、ウガンダ、ブルキナファソも、開発途上国グループを代表して、鉱物を公正な移行議論に統合するよう求めています。ブラジルは透明性向上、違法採掘・汚職対策、人権・環境保護の必要性を支持しています。
ブラジルのルラ大統領は先週の世界指導者サミットで、「エネルギー転換を議論するには、バッテリー、太陽光パネル、エネルギーシステムの生産に不可欠な重要鉱物なしでは不可能」と発言。これにより、COP30での鉱物議論への関心が高まりました。
一方、中国は公式コメントをまだ発表していないものの、非公式な会合で対応しています。IEAによれば、中国はほとんどの重要鉱物精錬で世界シェア約70%を占めており、市場における影響力は絶大です。しかし、中国は主に化石燃料の段階的廃止に焦点を置いており、重要鉱物を文書化する作業には慎重です。
金属フォーカス 編集部コメント
COP30で重要鉱物が議論の中心となったことは、サプライチェーンの透明性や公正なエネルギー移行に大きな影響を与えます。特に銅、リチウム、ニッケル市場は政策決定による需給変動リスクを抱え、今後の投資戦略にも重要な示唆を与えます。中央・新興市場の鉱物戦略は、2025年以降のグローバルマテリアル市場に波及効果をもたらすでしょう。


