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Sinkhole at the Alcaparrosa mine |
チリのアタカマ砂漠に位置する鉱山町ティエラ・アマリージャで、2022年に出現した巨大陥没穴が未だに埋め戻されず、住民の不安が続いています。カナダのランドン・マイニング傘下のミネラ・オホス・デル・サラドが操業するアルカパロサ銅鉱山の活動が、この陥没穴を引き起こしたとされ、今月チリ環境裁判所は同社に対し環境被害の修復命令を下しました。
環境裁判所の修復命令と地域への影響
環境裁判所は、同社に対して陥没穴の埋め戻しと地域の水資源保護を義務付けました。陥没穴は最大で深さ64メートル、幅32メートルの円筒状の巨大な空洞であり、アルカパロサ鉱山の地下水帯に被害を与えたことで周辺の地盤を弱体化させています。この地域はすでに水資源が著しく不足しているため、地元の水資源局長ロドリゴ・サエズ氏は「水資源に対して極めて悪影響を及ぼしている」と指摘しています。
住民の間では、近隣の医療施設や保育園も陥没穴の拡大リスクを危惧しており、地震時には陥没穴から巻き上がる大量の粉塵も不安を増幅させました。住民のルディ・アルファロさんは「陥没穴発生以来、常に恐怖と隣り合わせだ」と述べています。
鉱山活動と環境リスクの両立に向けて
裁判所は今年1月にチリの環境規制当局が出したアルカパロサ鉱山の操業停止命令を支持し、環境回復を強く求めました。ミネラ・オホス・デル・サラドは当局と協力し、修復措置を実施すると表明していますが、地域の環境と住民生活の安全確保には依然として多くの課題が残ります。
陥没穴問題は鉱山業界における環境リスク管理の重要性を改めて浮き彫りにしており、今後の鉱山開発において持続可能な資源管理と地域社会への配慮が求められます。
金属フォーカス 編集部コメント
巨大陥没穴の問題は、鉱山業の環境管理の難しさを示しています。鉱山企業は法的責任を果たすとともに、地域社会との信頼構築が不可欠です。今後はチリを含む資源国での環境リスク軽減策と再生技術の開発が業界全体の持続可能性向上に寄与するでしょう。