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Brazil Hot Rolled Coil |
ブラジルの鉄鋼輸入市場は、2025年8月後半に活発な動きを見せました。外国貿易事務局によると、8月27日時点で鉄鋼輸入割当の消化率が60%に達しました。これは、8月20日時点の57%から大幅な加速を示します。通常、週当たりの輸入量は3,000〜5,000トンですが、8月20日〜27日の期間は16,000トン近くに急増しました。このうち10,000トン以上を被覆鋼板が占めています。
割当制度の現状と市場動向
ブラジル政府は、輸入急増を抑制するため、2024年6月に割当制度を導入しました。この制度は2026年5月まで延長されています。低関税(9-13%)が適用される割当量は合計475,000トンです。この閾値を超えると、関税は25%に引き上げられます。現在までに288,700トンが輸入されました。特に被覆鋼板は割当全体の61%を占める主要製品です。一方で、熱延コイル(HRC)の割当消化率は34%に留まっています。輸入HRC価格の上昇が国内製品との価格差を縮め、海上貿易を抑制しました。
記録的な輸入量と今後の課題
輸入割当制度にもかかわらず、2025年のブラジルは記録的な輸入量となる見通しです。ブラジル鉄鋼協会Instituto Aco Brazilは、年末までに圧延鋼材の輸入量が前年比32%増の630万トンに達すると予測しています。割当は4か月ごとに更新され、次回は10月下旬にリセットされます。しかし、急速な割当消化は、割当を超えた高関税適用を早める可能性があります。今後の鉄鋼輸入市場は、この制度的な制約と市場の需要動向の間で複雑な動きを見せるでしょう。ブラジル政府の政策が鉄鋼輸入市場にどのような影響を与えるか、引き続き注視が必要です。
金属フォーカス 編集部コメント
ブラジルの鉄鋼輸入市場は、国内の産業保護と需要のバランスを取るという難しい課題に直面しています。割当の早期消化は、国内産業の健全性を示す一方で、高関税によるコスト増が最終製品価格に転嫁される可能性を示唆します。これは、ブラジルのメーカーや投資家にとって、戦略的な意思決定がますます重要になることを意味します。この動向は、グローバルな鉄鋼サプライチェーンにも波及効果をもたらす可能性があります。