トルコのウクライナ産生鉄輸入量が前年同期比88%急増:8ヶ月間の実績が示す黒海鉄鋼サプライチェーンの動向

Pig iron


トルコの製鉄業者が黒海経由の原材料調達を強化しています。2026年1月〜8月の8ヶ月間において、トルコのウクライナ産生鉄(ピッグアイアン)輸入量は前年同期比で88.3%増加し、8万3,200トンに達しました。地政学的リスクが継続するなか、トルコの製鋼メーカーは近隣地域からの粗原料確保を急速に進めています。


黒海ルートの回復とトルコ製鋼プラントの調達シフト

黒海貿易回廊の安全確保が進んだことで、ウクライナからの高炉用原材料輸送が着実に増加しました。トルコの製鉄所は電炉(EAF)および高炉での配合原料として生鉄を活発に買い増しています。ロシア産生鉄も根強いシェアを保持する一方、トルコ企業は供給源の分散を図るため、ウクライナ産生鉄の調達比率を引き上げました。これにより、トルコ国内の粗鋼生産体制における原料コスト最適化と安定操業の両立が進んでいます。


グローバル一次金属市場における輸入動向の変動

トルコの生鉄調達ポートフォリオは主要供給国ごとに明暗が分かれています。ウクライナ産生鉄輸入が88%増と著しい伸びを示したほか、インドからの輸入も前年同期比59.1%増の8万7,000トンへ拡大しました。一方で、カザフスタンからの輸入は81.0%減(2万5,000トン)、南アフリカからの輸入は40.7%減(1万3,000トン)へと急減しました。輸送物流コストの優位性と価格競争力が、トルコの原料購買戦略を直接左右しています。


金属フォーカス 編集部コメント

黒海物流の再生に伴うウクライナ産生鉄の供給回復は、中東・地中海地域の鉄鋼サプライチェーンに大きな構造変化をもたらしています。トルコ製鉄所による近距離調達の拡大は、国際マーケットにおける一次金属の価格競争を一層激化させる見通しです。今後は欧州炭素国境調整措置(CBAM)の本格適用を見据え、各社の鉄スクラップおよび生鉄の最適配合戦略が収益性を左右する重要局面を迎えます。

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