アジア鉄鋼業界、エネルギー危機で最大の打撃か【金属フォーカス】

Asian Steelmakers


中東紛争とエネルギー危機が、アジアの鉄鋼メーカーに深刻な影響を及ぼしています。石油価格高騰による輸送コスト増、代替航路の必要性、LNG(液化天然ガス)供給不安が重なり、鉄鋼需要と経済成長の停滞リスクが高まっています。台湾や韓国、日本を含むアジア地域の鉄鋼業界は、短期的な対応と長期的なエネルギー戦略の見直しを迫られています。


輸送コストと代替ルートの影響

アジアの鉄鋼輸出は、中東紛争とホルムズ海峡封鎖の影響で、従来ルートの使用が困難になっています。上海–ロッテルダム間の40フィートコンテナスポット料金は、わずか2週間で21%上昇し、1コンテナあたり2,478ドルに達しました。さらに、イランからの直接還元鉄(DRI)供給も紛争により不安定化し、中国の製鉄メーカーに影響が及ぶ見込みです。これにより、アジア鉄鋼メーカーは輸入原料コストの増加という二重の負担に直面しています。


LNG依存とエネルギー価格上昇リスク

アジア鉄鋼メーカーは、エネルギー価格上昇による影響が最も大きいとされています。2025年時点で、カタールとUAEからのLNG輸出の約90%がアジア市場向けで、台湾では電力需要の50%以上をLNGが支えています。韓国も世界第3位のLNG輸入国で、電力の27%を天然ガスに依存しています。カタールのラスラファーンガス施設への攻撃は、同国のLNG輸出を3~5年にわたり制約する可能性があり、エネルギー価格の上昇と鉄鋼コスト増加が避けられません。


世界的鉄鋼需要への波及

高騰するエネルギーと燃料コストは、グローバルな鉄鋼需要の下押し要因となります。IMFは、中東紛争の継続期間が経済全体に与える影響を左右すると指摘しています。米欧アジア各国での金利引き下げ見通しの「様子見」姿勢は、投資の停滞と鉄鋼需要の鈍化をさらに加速させる可能性があります。


金属フォーカス 編集部コメント

アジア鉄鋼業界は、エネルギー供給の脆弱性に直面しています。短期的には輸送コスト上昇と原料調達リスクが重なり、長期的にはLNG代替エネルギーや地域生産拡大戦略が重要です。投資家や政策担当者は、供給安全保障と市場需要の動向を慎重に監視する必要があります。

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