EU規制強化で揺れるインドのマンガン合金市場:輸出減少と価格下落のリスク

India manganese alloy


2026年、インドのマンガン合金輸出業者は欧州向け規制強化に直面します。EUによる輸入枠制限炭素国境税の導入で、主要輸出市場へのアクセスが大幅に制約される見通しです。


インドの輸出制限と国内供給過剰の懸念

EUは2026年、インド産フェロシリコンマンガンの輸入上限を12万6,800トン、フェロマンガンは6万9,900トンに設定しました。これにより、インドの欧州向け輸出量はほぼ半減します。インドは通常、フェロアロイ輸出の約40%を欧州向けに出荷しており、代替市場が限られる中、国内市場への過剰供給が懸念されています。その結果、価格下落と利益圧迫、特に小規模製錬所の財務負荷が増大する可能性があります。

2025年10月までの輸出データによると、インドは年間約167万トンのマンガン合金を輸出しており、そのうち欧州向けは約44万トンでした。規制により、30~40万トンの輸出が制限される可能性があり、余剰分の処理が大きな課題となります。


炭素国境調整メカニズム(CBAM)の影響

2026年1月からEUはCBAMを完全施行し、欧州輸入業者は製品の炭素排出量に応じた費用を負担する必要があります。フェロマンガンの場合、炭素集約度が1トン当たり約2.07tCO₂で、EU炭素価格が約80€/tCO₂の場合、追加コストは1トン当たり約165€となります。これにより、低炭素技術に投資できない小規模・中規模製錬所は、価格競争力を失う恐れがあります。

欧州の一部バイヤーは既に契約条件の見直しを開始しており、インド産マンガン合金の価格下落圧力が強まる可能性があります。2026年前半は市場の動きが不透明であり、供給過剰や不規則な出荷が続く見込みです。


価格下落と市場調整の行方

12月末時点で、インド産60%シリコマンガンのFOB価格は780~800$/t、65%マンガン合金は895~910$/tに下落しています。市場関係者は、未販売在庫の増加により、2026年初頭にさらに5~10%の価格下落を予想しています。小規模製錬所は生産削減や操業停止を余儀なくされる可能性が高く、大手メーカーはアジア、中東、アフリカへの輸出拡大を試みるものの、欧州需要の代替にはなりません。


金属フォーカス 編集部コメント

EUの輸入規制とCBAMは、インドのマンガン合金市場に大きな構造的影響を与えます。特に小規模製錬所は収益圧迫のリスクが高く、市場全体の価格下落と在庫増加が避けられません。今後は新規市場開拓と低炭素技術導入が生き残りの鍵となるでしょう。


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