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Kiaka gold mine |
ブルキナファソ政府は、新鉱業法に基づく権益取得方針について、海外投資家の懸念を払拭しようと動いています。特に、ウェスト・アフリカン・リソーシズ(ASX: WAF)が保有するキアカ金鉱に対する追加権益取得要請は、鉱業セクターにおける不確実性を高めています。ブルキナファソ政府高官は、この要請が強制ではなく、協議の申し出であることを強調しました。
ブルキナファソの新鉱業法と国家参加の狙い
ブルキナファソの鉱業登録局長官であるママドゥ・サニョン氏は、オーストラリアで開催された鉱業会議で、新鉱業法について詳しく説明しました。この法律は、政府が鉱山開発プロジェクトの有償権益を最低30%まで取得できると定めています。これは、無償持分である15%の政府権益に追加されるものです。さらに、政府と地元投資家は商業条件に基づいて追加の権益を取得する権利も有しています。サニョン氏は、ウェスト・アフリカン・リソーシズへの35%の権益取得要請は「強制ではなく、あくまで参加を求めるもの」だと述べました。政府は、国家が事業に参加することで、資本逃避を招くのではなく、むしろセクターへの信頼が強化されると主張しています。
高まる資源ナショナリズムと投資家の懸念
しかし、投資家からの不安は根強いです。これは、西アフリカ全域で広がる資源ナショナリズムを背景としています。マリのような近隣諸国も、鉱業法の改正や政治的な不安定さにより、投資家心理を揺るがせてきました。ブルキナファソでは、2022年に権力を掌握したイブラヒム・トラオレ軍事指導者が、資源に対する国家管理を強めています。同国はすでに、エンデバー・マイニングなどが保有していた主要資産を国有鉱山会社SOPAMIBに移管しました。また、ウェスト・アフリカン・リソーシズに対しては、サンブラド金鉱の配当支払いを強制するルールも適用しています。こうした動きは、投資リスクを増大させ、海外からの資本を引き付ける上で逆風となる可能性があります。
金属フォーカス 編集部コメント
ブルキナファソ政府の声明は、海外投資家の懸念を緩和する意図があるものの、行動が言葉と一致するかが鍵となります。今回のキアカ金鉱の事例は、西アフリカにおける資源ナショナリズムの波が現実のものであることを示唆しています。投資家は、新たな地政学的リスクと法的枠組みの変更を慎重に評価する必要があります。今後の動向は、ブルキナファソだけでなく、西アフリカ全体の鉱業投資環境を占う上で重要な指標となるでしょう。