ヴァーレ、カパネマ鉱山再開で鉄鉱石生産を拡大

Capanema mine


ブラジルの鉱山大手ヴァーレは、ミナスジェライス州にあるカパネマ鉱山の操業を22年ぶりに再開しました。これにより、同社の鉄鉱石年間生産量は1,500万トン増加します。今回の再開は、ヴァーレが掲げる2026年までに年間3億4,000万〜3億6,000万トンの生産目標達成を後押しする重要なステップです。ヴァーレは生産能力を増強し、世界的な鉄鉱石需要に応えます。


鉱山再開がもたらす革新と安全性

カパネマ鉱山は、5年にわたる改修プロジェクトを経て、9月4日に操業を再開しました。この鉱山は、尾鉱ダムを不要とするドライスタッキング工法を採用しています。ドライスタッキングは、鉱石の自然な水分を利用し、尾鉱から水分を除去し積み重ねる安全なプロセスです。ヴァーレは、2015年のマリアナ、2019年のブルマジーニョでのダム事故以降、安全性向上と法的・財政的リスクの低減を目指しています。その一環として、上流式ダムの廃止と乾式処理技術への投資を積極的に進めてきました。カパネマ鉱山の再開は、ヴァーレの安全に対するコミットメントを明確に示しています。


ヴァーレの生産戦略と環境への配慮

ヴァーレは、カパネマ鉱山の再開に加え、既存の尾鉱からの鉄鉱石再処理にも注力しています。同社は2025年上半期に、尾鉱から約900万トンの鉄を生産しました。これは前年同期比14%の増加です。ヴァーレは、2030年までに鉱山廃棄物の再処理による生産量を10%増やす計画です。こうした戦略は、生産能力を拡大するだけでなく、環境負荷を低減する持続可能な取り組みでもあります。今回の再開は、安全性と環境配慮を両立させながら、グローバルな鉄鋼産業の需要に対応するヴァーレの新たな生産モデルを示しています。


金属フォーカス 編集部コメント

ヴァーレのカパネマ鉱山再開は、単なる生産量増加以上の意味を持ちます。これは、安全性と持続可能性を重視する新しい時代の鉱業モデルを象徴しています。ドライスタッキング技術や尾鉱の再処理は、業界全体のベンチマークとなるでしょう。今後、鉄鉱石サプライチェーンの安定化に貢献すると同時に、環境配慮型生産が市場の競争力を左右する新たな基準となる可能性を示唆しています。


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